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 その言葉にはね、願いが込められているんだ


 大切な人を守れますように


 ……って。



『大切な人のHEROになれますように』って……



「ヒイロ様、お待たせ致しました」


 漆黒のロングテールコート

 雪のような白い肌に、一筋の黒髪が落ちた。


 あなたは?


 そう聞く前に。


 ロングテールコートの男は恭しく腰を折った。


「申し遅れました。私は、始まりの地ノイモンド大陸アルファング国を治める我が主よりの使者。主が貴方様をお待ちでございます」

「王様が!」


 俺の冒険はアルファングから始まったんだ。

 ある日、突然、異世界召喚されて。

 俺は「ヒイロ」に生まれ変わっていた。

 名前はそのままだった。

(そして)

 十八歳の誕生日を迎えた日。

 王様から、この世界の平和を脅かす魔王討伐を命じられた。


 闇色の宝石の宿る玲瓏を、そっと彼は細めた。


「どうぞこちらへ、ヒイロ様。馬車を用意しております」

「えっと」

 それらしい乗り物は見当たらないんだけど?

「おっと、これは失礼致しました。見ず知らずの私めに声をかけられて怪しまれるのは、当然でございますね」

「い、いえ。そういう訳じゃ」

「こちらをご覧下さい」

 懐から取り出したそれが、陽光を受けてキラリと光った。

 金の懐中時計に刻まれているのは、双頭の鷲と蛇。

「アルファング国章でございます」

 見事な意匠だ。

「では、こちらへ」

「わわっ」

 バサリ

 腕を掴まれて引き寄せられて、ハッとした瞬間、腕の中にいた。

「ご無礼をお許し下さい」

 金糸の美しい刺繍の施されたマントを羽織っていた。

「貴方様の御名と同じ色でございます」

「ちょっと恥ずかしいな」

「よくお似合いですよ」

「わわーっ」


 ち、近い!


 顔が。

 どうして?


 ふぅっと吐息が額に触れた。



 俺ッ!

 抱きしめられたままだー!



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