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こっちへ来るな……とでも言うように。
触手が足に絡み付いている。
(ひどい)
ひとりでカッコつけて。
(言ったじゃないか)
謁見が終わったら話そうって。話したい事があるって。
(俺、まだその話聞いてない)
カッコつけるなよ。
そんなお前は嫌いだ。
だから、俺がぶん殴ってやる。
(カッコなんてつけさせない)
カッコつけさせてやるもんか。
這ってでも、お前のもとに行ってやる。
俺がぶん殴るまで死ぬんじゃないぞ。
ぶん殴ったら、その後……
抱きしめてやるから。
だからリッツ……起きろよ。
俺がぶん殴るまで、寝るんじゃない。勝手に寝るな。
寝ちゃダメだ。
「起きろ!」
腕を伸ばす。必死に伸ばす。届かない。どうして?もうちょっとなのに。
……これじゃあ、殴れないだろ。
「リッツ!」
「邪魔だ」
低音が轟いた。
リッツが壊したのは傀儡だけ。相国は無傷。
「全員死ね」
ギラリと頭上に輝く北斗七星。
否、あれは……
宝剣・アイスファングが七つ
(コピーした?)
天井のアイスファングは偽物だ。幻術に過ぎない。
しかし威力は本物。
「勝利の群像、敗者に堕ちよ。奈落《北斗挽歌》」




