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ドクンッ
(なんだ?)
不規則な鼓動は?
ドクンッ、ドクンッ
鼓動が脈打っている。
「傀儡は復活する」
(傀儡?俺の人形が?)
「心臓の位置をわずかにずらした。触手で無理矢理、動かしていた体では探れまい」
もう一人の俺は、壊れていない。
「残念だったな。これが貴様、哺乳類の限界だ」
ドクドクドクンッ
傷ついた心臓が再生している。
傀儡が甦る。
(甦ったら?)
俺の意識がまたあの中へ引きずり込まれる。
なぜかは分からない。
しかし、相国は俺をあの傀儡の中へ入れたがっている。
「……ス……キル」
リッツ!
声は紛れもない。聞き間違えるものか。
「……終焉か……らの……再生」
「聞き飽きた」
無機質な眼が青年を見据える。わずかな侮蔑を灯して。
「リッツ!」
リッツは気を失っているんだ。
意識が戻った?
違う。気を失ったままで、声を発している。
《スキル》発動条件を満たすため。
「……裏波動……リバース…………キル」