表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/186

172

「所詮は偽物」

 純白の翼が天に広がった。

「偽物の翼では、私に届かん」

 翼が羽ばたく。

「届く」

 リッツは止まらない。

 止められない。

 視覚を閉ざされた今、相国は正確な狙いを付けられないのだ。

「甘い。動きは既に封じている」

 相国の言葉に不吉なものを感じた。

「リッツ、腕!」

 右腕に数本の羽が刺さっている。床に突き刺さっていた羽だ。先程の羽ばたきで巻き上がったのか。

「こんなものが」

「『こんなもの』で貴様は落ちる」


 ふらり……


 空中でリッツがバランスを崩す。


「リッツ!」

「大丈夫」

「強がるな」


 まただ。リッツの体、バランスが取れていない。


「毒か?」

「そんな物よりもっと凶悪だ」

 風が失速していく。

「貴様の三半規管を壊した」


(羽!)

 床に刺さった羽

 腕に突き刺さった羽


 風になびくのではない、不自然な揺れを繰り返している。


 相国の技は協力だが、補助系が多い。相国自身の魔力が大きいから、補助が強力な攻撃に変わってしまう。

 今、リッツにかけているのも、本来の補助系の技だとしたら?


「振動!」


 羽の振動が、


「貴様は私の視覚を封じたらしいが、私は貴様の聴覚を封じた。聴覚を封じるという事は、体の平衡感覚をなくす」


 気づかぬ間に壊したんだ……


「内耳前庭、三半規管、耳石器。微細な振動が平衡感覚を司る器官を破壊した」


 純白の翼が翻る。


「羽虫が哺乳類を称するならば、抵抗してみせろ。哺乳類」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ