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剣を振るう。
風が巻き起こる。
剣圧だ。
振り下ろす剣の勢いが風を作っている。
誇り高き道である。
誇りを貫く道である。
この道は、騎士団全員が一丸となって切り拓いた道である。
……ゆえに血塗られている。
ならば血にまみれよう。
美しき道ではない。現実は憧憬される道でもない。
血に染まって切り拓く道である。
同じ色に染まって見える景色に価値がある。
「先輩、少々手荒になりますがご容赦を」
「派手にやってくれ」
白鷲隊隊長が頷いた。立っているのがやっとの状態だろう。でも。
風圧が大気を薙ぎ払う。
ミシミシッ
床に亀裂が走った。
刹那。
バキィーッ
床が裂けたのと同時。
剣圧で隊長の体が宙に浮く。どうしたって避けられない。吹っ飛ばされた体は後方の壁に激突した。
瓦礫と共に落ちた体が床に崩れる。
だが。
体を横たえたまま、拳を突き上げた。
「反撃開始!」
声が響く。
「いけェッ!」
「Alles Klar!」