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数に勝る優位はない。
数に勝る脅威はない。
相国が動きを止めている今がチャンスだ。
羽ごと体を貫く白銀の幹が割れる前に、
「勝機を掴めェェーッ!!」
「ウオオォオオオーーッ!!」
号令がかかった。
大音響が応える。
振りかざした槍が天を突く。
絶対的優位。数の暴挙である。
数で押しきればいい。
この数、この槍。全て避けきれまい。
この数、この槍。全てをその身に受けたならば……
死は免れないだろう。
「紫狼隊、出るぞオー!!」
オオオォォオオー!!
「白鷲隊、前進!!」
ウォォオオオオー!!
「朱獅子隊、かかれェー!!」
オオォオオオオー!!
紫狼隊は、槍に紫の布が、
白鷲隊は、槍に白の布が、
朱獅子隊は、槍に朱の布と火が、
各隊を表す色を巻いた、隊長の槍が振り上がる。
ウオオオォオオオオオー!!
大音響が渦を巻く。
白銀が輝いた。炎が燃え上がる。
走る。跳ぶ。
騎士団の誇りと決意を込めた無数の槍が、相国を強襲する。