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「《シュトラール》!」
詠唱破棄。
亜流魔法で相国を止めた一瞬の隙を突いて、次の剣士が間合いを詰める。
跳んだ。
構えた長剣。
右手からの長剣の突きが閃いた。
「屈辱だ」
相国が囁きに憎しみを込めた。
「私が国王陛下と同じ戦い方をせねばならんとは」
剣を素手で止めた。
身体強化魔法だ。
バキィ
力任せに剣をへし折る。
「まだだ!《シュトラールⅡ》!」
バランスを崩しながら、詠唱破棄する。
左手に剣が生成される。
否。
不発。
左手に剣はない。
空虚な拳が宙を掠めた。
(そんな)
詠唱破棄に失敗したのか。
………………違う。
「「フェイクだ」!」
俺と剣士さんが同時に叫んだ。
壊した筈の剣の欠片が伸びる。
《シュトラール》は物質の生成。
相国の右手の中、破壊した筈の刃が空中に向かって何本も伸びた。
一気に、一斉に。
狙いはこれだ。
空振りして体勢を崩したまま、床に落ちながらも剣士は笑った。
カキィン
兵士が手を打ち鳴らした。
「《タップ》!」
亜流魔法が時間の欠如を生む。
反撃の隙は与えない。
よけられまい。
この至近距離で。
剣の枝が相国を貫く。