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(相国の声)
棺の中から、静かに相国の声が響いた。
バリィィーッ
甲高く轟く、氷が朽ちる悲鳴。
「形態変化はお前だけではない」
氷が剥がれていく。
「私は姿を変化させる」
青を帯びた長髪から生えた、純白の羽……
背中、そして頭にも翼を持つ。
「誇れ。人間風情で我が姿を目にした事を」
氷が黒く染まっていく。
「同時にそれは、人間如きが分をわきまえぬ『罪』だ」
氷が蒸気となってトグロを巻く。
(黒い大蛇!)
「刮目せよ、己が『罪』を!」
巨大な漆黒の大蛇の口が裂け、お兄様に向かって飛びかかる。
お兄様が飲み込まれる。
「《レジスタ……》」
「遅い」
シィヤァァァーッ
漆黒の蛇が鳴いた。
お兄様が蛇の中に……
「解呪」
まさに牙がお兄様噛み砕こうとした時、ズブズブと音を立ててへびが溶けていく。
召喚物ではない。
幻術の蛇だった。
「とっさに解呪に切り替えたか」
だがな……
「それは『餌』だ」
スゴン
崩れゆく蛇の口から共鳴がした。金属と金属が組み変わる。骨組みが別の骨組みを構築する。
最早それは元の姿を留めない。
今やそれは、リーチのある獲物。
長物だ。
(鉄扇が)
薙刀に!
黒き鋭利な刃が、刹那に空を斬る。
お兄様の反応が遅い。
よけられない。
第二形態
魔力と速度を上げた相国の魔刃が迫る。
ジュルリ
赤い舌がチロリと見えて、相国が舌なめずりした。
「終局だ」
薙刀が首を刎ねる。