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「ちょちょっ、ちょー」
寵姫って!
「俺、お兄様とそういう関係じゃ!まだっ!」
「まだ……な?」
チラリ
仮面の視線が俺を見やった。
もしかして、俺ッ
(墓穴掘っちゃったー!?)
「それは陛下に献上致しました物でございますが、寵姫様がお気に召したのであれば、陛下から寵姫様へお贈り下さい」
「寵姫じゃありませんっ!」
「あい分かった」
「分からないでっ!」
パタパタ
激情に揺れる俺の心をなだめるように、頭の上、金色の鳥が小さく羽ばたいた。
「うぅぅ〜」
「陛下。我が国庫に金貨をご用意しております」
「ガルディンは鉱物資源に恵まれていると聞くが?」
「他国に比べれば金は安価というだけです。金の価値が低い訳ではありません。無論……」
静かながらに、語気を強めた。
「陛下に金貨でお支払いした後、金を流出させて、世界の金の価値を下落させようとなど考えておりませぬ」
「自分で言うか?」
「はい」
「では逆も?」
「輸出量を減らせば、金の価値は上がります」
「ガルディンには、それができると?」
「ガルディンの名は出しませんが、裏の流通網にて、金を世界各国に輸出しております。需要と供給のバランスを崩すのは、容易い事てす」