133/186
133
「フィーラか」
「我らはヘイラと呼んでおりますが、その地域で間違いございません。
彼の地は土地が痩せ、食物自給率は極めて低く、本国からの供給に頼っていると聞きます。資源も乏しく、割譲して頂ければ互いの利になるかと」
「ほう?」
「フィーラをお譲り頂ければ、我らは領地が広がり、領地経営が安定します。貴国にとっては、フィーラの援助がなくなる分、資金が増え、都の経済の活性化に繋がるかと存じます」
「それで?」
「金貨でお支払い致します。金の価値は各国共通ですので」
相国が右腕を水平にかざした。
「我らの誠意にございます」
ひらり
金色の羽が宙を舞った。
「あっ」
思わず息を飲んだ。
頭上から落ちるシャンデリアの灯を受けた長い尾羽がきらめいた。
ひらひら、キラキラ
黄金の羽が広間の空を飛び渡り、シャンデリアを高く越えていく。
俺も、この場にいる皆がその美しさに見惚れている。
まるで光をまとっているかのような、金の鳥から目が離せない。
「これは?」
お兄様の差し出した右手の人差し指に、鳥は止まった。




