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(認めたら……)
認めぬ事で国家間が均衡を保っているんだ。
ガルディンを国家として認めたら、新たな勢力が誕生する。
それも、魔族の……
人類と魔族
新しい関係の構築
融和
もしかすると、今よりも一歩踏み出した平和な世界を実現できるかも知れない。
けれど……
人と魔物は争い続けてきた。
途方もなく長い年月を、
人が何世代も世代を変え、長命の魔族すら世代交代を繰り返す長い年月を、命を潰し、命の代償に命で贖い、人も魔物もあまたの命を失って争い続けてきたのだ。
魔王討伐直後で、人の魔物への遺恨は根深い。
そんな状態で魔族の国家を認めたら……
(人類の国同士で新たな火種を作る)
認める者と認めない者
互いの主張を認めぬ者との間で争い、人間の国家間で戦争が……
「畏れながら、この場で即答をお願い致します」
「ならば答える。ガルディンを国として認める事を、アルファング王国は非とする」
「左様で……」
相国に動揺はない。想定内と言ったところなのだろうか。
お兄様の答えで、人類同士の戦争は回避されたけど。
(まさか、ほんとうに相国は人間の国家の戦争を目論んで?)
「であるならば」
(やはり!)
仮にもし、そうならば、ここで相国が大人しく引き下がる訳はない。
「貴国のガルディン隣接地域を割譲頂きたい」