あと何分?
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
帰宅途中に書いたのが相性悪過ぎて、供養本になってしまいました。
同居人と夜を共にするのが日課だった。病める時も健やかなる時も。けれども朝になると、するりと腕を潜り抜けて何処かへ行ってしまう。大型連休明けを除いて。
大型連休明け、つまり出社日の朝、彼女は俺より早く目覚めると、ぐりぐりと胸元に頭部を押し付ける。其れから離れない様に背に腕を回して、しっかりとしがみつく。
「ん」
「何処にも行きたくない。ずっとこうして居たい」
俺が起きているのに気が付くと。消え入りそうな声でそう言った。それは普段の彼女からは考えられない行動だった。
休日であろうが、平日であろうが、相手は割と早起きで、目覚めると同時に何処かへ消えてしまう。本人に言わせると『寝ているのが何か勿体ない』との事。
だが今は大型連休明け。誰しもが出社を拒む日だ。彼女も其れは例外では無いようで、幼子の様に駄々を捏ねる。
「目覚まし鳴るまであと何分?」
「一時間半」
その返答にそれとなく満足したらしい。少し眠そうな顔を上げる。
「じゃあ、もう少し一緒に居られるね」
そう言ってまたぐりぐりと胸に頭上を擦り付けた。そんな彼女の体を抱き込む様に腕を回すと、瞼を閉ざしたまま、微かな寝息を立て始めた。朝までまだ時間はある。もう少し眠ってろ。
次に彼女が目を覚ましたのは、目覚ましの鳴る三十分前だった。彼女はハッとした様に目を見開き、腕を伸ばして目覚ましを漁る。
「あと何分?」
「あと三十分」
「やだ……起きたくない。あと三時間。あと三時間引っ付いてないと起きないから」
彼女は俺から手を緩める事無く、グズり続ける。
「何時もそうじゃん……。永遠と思っても永遠じゃない。すぐに朝が来る。すぐに引き裂こうとする」
「帰ったら、またこうしてやるから。こうやって、布団の中で抱えて、寝てやるから。だから起きろ」
「キスしてくれたら起きる」
そう、彼女が望んだのだ。だから俺は目に入る部位にひたすらキスを落とし続けた。もう時期、夜が明ける。
本当は布団に包まりながら書くのが一番だと思うんですよ。
ただ時間がない。私の制約的にしたくない。という理由から、この時間。そして供養本になってしまいました。
本当はもっと綺麗な話になるはずだったんです。
昨日の方が綺麗じゃん。
出社日の朝じゃないと、切実な気持ちが書けないんです。ままならないなぁ……。