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影葦はその時、頭を角材で殴られたような強い頭痛を覚えた。その痛みは耐えがたく、胃が裏返ったような吐き気に苛まれていた。彼の苦しみは時間が引き延ばされたように続き、目の前の光景は時が止まったように動かない。なぜこんな目に合うのだ、と自身の運命を強く呪った。苦しみの中、影葦はある者の声が聞こえた。
「耐えよ、お前ならこの状況を覆すことなど、造作もないはずだ」その声は、自身に先見の明を授けてくれる師であり、同胞とも呼べる存在であった。
「ぐ…あ…な、ぜ?お前の指示はすべて果た…したっ、次…お前の…が」影葦は言葉を絞り出したが、もはや彼自身発声できているのかもわからなかった。
「敵方が想定以上に地上に干渉してきている。お前の苦しみは、敵の姑息な悪あがきによるものだ。我らがこれから、すべてひっくり返す時が来る」
「天よ、どのよに…打開す、か?」影葦は苦しみの中、一縷の希望に縋るように声を振り絞った。その顔には微かに笑みが浮かんでいた。「我は大いなる理の一つ、目に見えぬ力、縁を統べる者の一つ。それが答えだ」
「耐え、ぞ…」
影葦が握っていた大太刀が怪しく光った。




