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狂った世界1
旧暦三千年、新暦元年に当時の総理大臣である貴海肇が善悪法を発布。善悪法とは一言でいえば国民を善人と悪人に分け、善人の行いは全て正しく、あらゆる悪事は全て悪人のせいにするというもの。善人にとっては天国、悪人にとっては地獄な内容に国民は強く反発し各地で大規模なデモが行われたが、政府は自衛隊を投入。抗議する国民を武力で制圧し、多くの国民が犠牲となった。かくして多くの命を犠牲にして理不尽な世界が幕を開けた。善悪法の発布によりこれ以外の法律とそれを守る弁護士及び警察官はこの世から消滅し、善悪法はこの国に唯一残る絶対的な法律となった。善悪法に則り善人と悪人の居住区は区別され、両者はそれぞれの街に別れて暮らし、全く異なる文化を築いていた。