溜息の行方
ゲスい連載を書いていたら突発的に書きたくなった青春短編です。
ドタバタなラブコメをお楽しみください。
「せんぱーい! またフラれましたー!」
「あー、わかったわかった。今度は誰に告ったんだ?」
「サッカー部の本多先輩……」
「また競争率高いところ行ったな。あいつ確かめっちゃモテるけど、『今はチームを全国に連れて行く事しか考えられない』って、告白全部断ってるらしいな」
「……はい、そう言われました……」
「お前さぁ……。とりあえず外見だけで好きになって、告白するのやめないか? もっと相手の事よく知ったりとか、接点を持ったりしてだなぁ……」
「そんな悠長な事してて、他の子に先を越されたらもったいないじゃないですか!」
「ほーう。では聞こう。その戦術での勝率は?」
「……ゼロです……」
「だーかーら! やり方を見直せって言ってんの! 毎回毎回フラれるたんびに俺のところに泣き言言いに来やがって……」
「あ! ご、ごめんなさい! 迷惑でした!?」
「迷惑とかじゃなくて、何て言うか、その……、せめて告白する前に相談に来い! 相手がろくでもない男だったら危ないからな!」
「わかりました!」
「全く……。それにしてもお前立ち直り早くないか?」
「先輩に話すと、フラれた悲しさがふって無くなるんです!」
「俺は回復ポイントか……」
「だからまた好きな人ができたら告白できるんですよ!」
「無謀な告白の理由に俺を絡めるな! 『生き返れるから死んでもいい』理論が許されるのは、フィクションの中だけだ!」
「今後ともよろしくお願いします!」
「よろしくしたくねぇー……」
「そーだ! 先輩がフラれた時は私が相談に乗りますよ!」
「フラれる前提で話するんじゃねぇよ!」
「ごめんなさい! じゃあ好きな人がいたら、相談に乗ります!」
「……お前には相談しない」
「な、何でですか! あ! さては役に立たないとか思ってますね! 心外です!」
「どーせお前のアドバイスは『告白です! 当たって砕けましょう!』くらいだろうしな」
「……そ、そんな事、ありませんし……」
「目ぇ逸らすくらい自覚してんなら改善しろ。ま、元気になったんならいいや。飯食いに行くぞ。どこがいい?」
「おっ得ラーメンで!」
「お前あそこ好きだなぁ」
「だって五百円で替玉二個無料ですよ!? 行くしかないじゃないですか!」
「わかったわかった。じゃあ部室閉めて鍵返してくるから、校門のところで合流な」
「はーい!」
「……はぁ……。今日も言えなかった……」
読了ありがとうございます。
さて、最後の溜息はどちらのものでしょうねぇ。
お楽しみいただけましたら幸いです。




