佐爾波家の事情
佐爾波家の事情
「園美、居るかな?」何某は直属の部下を呼んで言った。
「ザッハーク、此処に。一体何用でしょうか?」園美は自分の出番が来るとは思わなかった。だから内容がとても気になった。
「悪いけど君を用意させておいてよかったよ」と何某は言った。
「嫌な予感がするんですが、早く家に帰りたいんですが何時になったらこの勤務終わるんですか?」
「後、10年ほど追加で残業してして欲しいんだが」
「は?オイ、人の話聞いてますか?主人が待っているんですが」
「んー、本当はこのままボクが10年待つつもりだったんだけどね、今から90年前に過去に跳躍する必要が出てきた。となると90年前に飛んだボクが合流するのに主観時間でどれだけ時間が掛かると思う?」
「確か、過去から未来に跳躍せずに時間が過ぎ去るのを時間跳躍者が待つ時間は、過去からは3倍の時間経過速度が常識。
だから、現時点から再び会うのは30年、いえ私も未来に向けて等倍の速度で未来に移動するから……」
「ふむ、タイムトラベラー組織の幹部のハズの君がそれでは不安になるな。答えは33年後の2043年頃だ。何もしなければね、流石にちんたらと過ごすことはしないよ」
「では合流時間は予定通り、4つの塔の討伐が行われる2019年頃ですか」
「そうだね。理由は"大戦争を実現させる"。この意味は理解るかな?」
「2回目は起こしませんか。となるとパリ講和会議前に行くということですか?大陸の方で色々な工作が面倒くさそうなのですが、それさえ乗り越えれば割とスムーズに宇宙開発が進みそうですね、隣接世界とは全く違って宇宙デブリ問題を引き起こりそうにないですし」
「仕方あるまい、4人のプレイヤーから脱落者が出て、その代わりに塔が建った。賽の河原の石の塔が、となると幻想ちゃんには相棒が必要だ」
「それは、異能生産から、別の異能生産を創って、昼歩行者を簑笠府 千兎畝に渡す手筈では?」
何某の計画では簑笠府家に簑笠の異能ではなく、太陽光からの火傷を無効化して、命を繋ぐ昼歩行者が与えられる予定であった。
そこで、異能生産を持っている人物の役割は、そこまで停まりであったのだ。彼がこの世界でない世界へ塔を転移させるみたいな事例がなければ"4つの災厄の塔"の一頭、HappyEndとして配置されるだけである。
「そうだね、時間切れの有る3つめの縮小再生産の異能生産があの家には与えられる予定だった。そこで同じく昼歩行者が与えられることで最終局面まで命を紡いで欲しかったんだがなあ、どうやら千兎畝君の方が面白そうだ、と思ってしまった訳だ」
「そうですか、まあ、仕方ないので私は貴方の影武者を務めますよ。」
「助かるよ、これ新庄君を使い道がなかったけど、どうやら面白くなりそうになる」
「あの少年が?確かに異能生産は脅威ですが、唯のモブのゾンビじゃないですか?」
「エゴ強度の保存の法則というのが有るんだよね」
「初耳ですね」
「ああ、これはまだ誰も気づいていないからね。エゴ強度最強の人物Aとエゴ強度が弱いBを同じ異能に放り込む。
そこでAを亡き者にする。本来ならAのエゴ強度を受け入れるモブは存在しないんだがBは特別でね?彼は世界に選ばれた唯のモブだ。彼にそのままAのエゴ強度が引き継がれる。こういう事なら割と面白くなりそう、とは思わないかな?」
「確かに、それは"面白そうですね"。10年の残業楽しめそうに成りましたよ、ちょっと待ってください。新庄君が彼が破壊の種子をばら撒くから、こその彼はゾンビとして生かさず殺さずだったのでは?」
「精神の漏出、だね。この世界から精神、此処ではエゴと言うか。これが外の世界に漏出するよりは遥かにいい」
「しかし、彼がエゴを得て、しまうのは大変まずいかと。これで彼は異能生産と、異脳聖餐の2つを得ることになる」
「何を言っているんだ、だからこそだろう。」




