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異能生産(Dehumanize)  作者: 赤石学
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醜悪ななにか

醜悪な何か


「はあ、そう。頑張ってね。できれば公平に扱ってあげて?え?そんなのは当然?理解りました。今日は朝までデートしててもいいですよ」と簑笠府イリスは、直属の部下の梓梢が、昨日恋人というか、セフレみたいな関係を結んだ山乃原と沖ノ島と3人で遊びに行き、そのままラブホテルでシケ込んだ、と言う連絡を受けたばかりである。

「で、まさか、梓さんっていきなり複数プレイからDT二人を食っちゃうとか、完全に肉食系だったんですね」新庄幸人は頭を抱えた。梓の性癖に比べれば、ど淫乱クソ女のイリスが幸人にのみ執着するだけ、身持ちが固いといえよう。……そうか?


「童貞二人がすぐさま事に至るかなあ?」幸人は当然の疑問を尋ねてきた。

「どうやら、なかなか臨戦態勢にならないので、二人を背中向きにして「片方がもう生殖器露出しましたよ、見たい感じでワザと二人を煽って、最終的にどっちも裸にひん剥いたようです。その流れで複数プレイを楽しんでいるみたいです、おっと梓からプレイの様子の動画が来ました、いやぁ、山之原くんも、沖ノ島くんもやりますねえ」イリスはその動画を確かめて率直な感想を述べた。


「ん?動画を出してきたってことは?」幸人は一つ懸念点が出てきた。

「はい、倫理規定モラルコードを破るために、このいかにもな不健全な奴をネットに上げてもらいます。

そうやって彼女達にもスキル枠を増やしてもらいましょう、流石に複数のポイントカードを作ってそれが使える、見たいな地味な能力は梓には趣味でしかないでしょう、これはいい機会かも知れません」イリスはそう言って興味を失ったのか端末をベッドに放り投げて寝転んだ。暇そう。


「大丈夫?セックスする?今日は完全なオフ日ってことでそういうのは一切なしで、簡易契約で良いって感じだけど無理してない?」幸人はこの淫魔が性交を断って生きていけるのか心配している。本当に心配しているのでイリスは割とイラッとした。

「あー、なんか勘違いしてますが、わたくしは確かにスケベです。ですが、良識や理性を完全には失っていません。末期の麻薬依存症みたいな扱い止めてくれませんか?」


「ほんとにぃー?」幸人は初夜以前のイリスを知らない。淫魔ではないか?と言う彼女しか知らないのだ。

「いいですか?本来、契約の更新頻度を1日単位にしたのは1日も保たないとか、そういう事ではなく、依存行動を絶つ為に『好きでヤッている』のではなく、『毎日ヤらなくてはいけない』と言う事で、未経験で抱いていたセックスへの幻想を現実として、淑女として将来生きていく為に思案したものです」


「なるほどね、確かに『毎日ゲームをしろ』ってのを強制されるとゲームは好きなのに、一旦ゲームを辞める人も出てくるってのは聞くよね」イリスは割りと現実的で、常識人の面もあった。だが夜の痴態が印象強すぎてそれを忘れさせていた。

「ええ、そうです。そう言うことなのです」イリスは得意げに胸を張っていった。


「じゃあ、明日からも簡易式で良いかな?」幸人は彼女と出会ってから休み無しで毎晩励んでいるのでそろそろ無くなっても良いかな?という感じだった。幸人も義務でヤッていたのでどうにか休みが欲しかったのだ。

「……え、えーと、それはですね。世の中には『気づいていなかった』『意識してやるけど、無意識でもやる』『その内負担でも無くなって毎日出来る、ヤりたい』ことって有るじゃないですか?わたくしも義務化したらウンザリするかなーって思ったんですが、ね?そうでしょ?呼吸って止めたら死ぬじゃないですか?わたくしの場合簡易式契約延長でも怠ったら発作で死にかねないじゃないですか?」イリスはしどろもどろになって答えた。


「具体的に言え」幸人はだいたい彼女の言わんするところを悟ったので強めの言葉でいった。

「はい、実は依存しないで済むと良いなあ、と思っていたんですが。実際には『辞めたら狂いそう』な感じでした。わたくしも此処まで1日に1本のペニスが効能が有るとは思いませんでした。成程人類が今まで繁殖出来てきたのは納得の行くものでした」イリスは結局のところ、やはりドスケベド淫乱クソ女であった。


「まだ、排泄物には執着がないのでその呼び方止めてください。わたくしが今日はオフとしたのは、最近の世情と、異能アビリティーについての相談がありまして」というとイリスは数冊の書物を幸人の前に持ってきた。

「佐爾波家、十二奥家系図?不動天家日記?」幸人は古い書物の名前を読み上げた。


「これがわたくしの、力の継承、もしくは異能アビリティーに関しての研究に際し、参考にした文献の数々です。まずは家系図を見てください」

「……凄いね、12の家の家系図がほぼ網羅されてる。力の継承に関して特に深く記述されているね。でもさ、これって」幸人はそれを読んだ感想を正直に述べた。


「はい、これはむしろ、血筋による力の継承を認めていない、もしくは似ているが別物と確信的な視点で記述されています。他の家の口伝などでは力の継承と、血の濃さはほぼ同義であるのにも関わらずです。

これが書かれたのは江戸時代頃のようですが十二奥家の勃興と同時期から伝えられてきたものまで、網羅されています」とイリスは言って幸人を注視した。何かを確かめるように。

「と、なると十二奥家の系図はダミーというかミスリードに見える。そういう目線で見ると、この系図に度々出てくる外部からの血を受け入れてるのはなんでだろう?あ、そうか。北の極点(1の輝星)という異能生産(Dehumanize)を持っていれば、外部の人間、それも新しい血を取り入れる際に、

十二奥家と縁もゆかりもない人物が異能、もしくは力に目覚めているとかなのだろうかな?これは十二奥家の存在技に関わらないかな?」と幸人は感想を述べる。


「なるほど、では幸人さんこちらをどうぞ、不動天家の興起、日記の方です。これも合わせて読んでみてください」

「……、これ先程の系図に出てきた、"外部からの血"である入婿、嫁入りしてた人だよね?」幸人はそういった。


日記の方に書かれているのは不動天家の当主が直々に会合した者ばかりである。何故世界を複数にかけて牛耳る、十二奥家の当主が、縁もゆかりもなし者と会うのだろうか?

しかし、もう一つ幸人には気になっていた。


簑笠府イリスの、悍ましい家系図である。

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