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異能生産(Dehumanize)  作者: 赤石学
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死者使いの反撃


死者使いの反撃



「新庄良いか?今時間在る?」沖ノ島忠志から新庄幸人にSNSで直接メッセージが届いた。珍しい。レイド戦期間以外で彼から幸人に連絡はめったにないのだ。

「何か在った?」幸人は彼の恋人である簑笠府イリスが何やら淫靡な支度を始めていて時間が空いているので沖ノ島の話に付き合うことにした。


「イリスちゃんの例の脅迫なんだけど、俺ら助かるかもしれない」沖ノ島はこう言ってきた。ほぉーう、と幸人は思った。そう言う逃げ道が在るとは思えなかったからである。

「ソースは?」幸人は手早く聞いた。


「彼女から報酬として貰った奴、偽物だったんだけど。いや序盤は本物で、途中から偽物。他の動画を溶接してあるから一見同一の時間に撮影されたと思ったんだけど。これのオリジナル見つけた」沖ノ島はほぼ正確に動画の正体を解析していた。流石うちのクランの解析班である。攻略のために規約ギリギリでマスクデータを暴いている奴である。

「で、それだど弱くない?」つまり、バレた所で序盤はギリギリ流出しても良いやつのはず。しかもイリスは露出狂である。そこまで効力が在るとは思いにくい。


「ところがだ、溶接した動画元の方の女がイリスちゃんに似すぎていてる、ということでその投稿主のアカウントを探った。これもイリスちゃんっぽい、99%くらいで」沖ノ島の言う通りなら、要は後半部分はイリスの本当のポルノとなる。

「そこ何処かな?」幸人は念のため、そのアカウントを一目見て確認しようと思った。


「*******.com/model/Fantasygirl。」沖ノ島の送ってくれたサイト、そのユーザーの投稿したビデオを幸人は見る。

「やっば」幸人は呻いた。投稿されていたプライベートビデオは全て間違いなくイリスと幸人の情交の記録である。


わたくしは、死ねば存在自体が架空のものと消える定め、故に記録として遺ることがデジタルタトゥーの類だとしても、痕を残さず消えるのだけは嫌です」とイリスはかつてそう告白した。そこに悪巫山戯もない、心の底からの願望だというのは幸人にも理解った。理解ったのだが僕を巻き込まないでね?という話だった筈だ。

「話違うんじゃないかよ」幸人はいそいそとうきうきとこれからのプレイに必要な道具の手入れを行うイリスを呼び出して、沖ノ島からのリーク情報をイリスに見せた。


「これは、どういう、ことかな?」幸人はイリスに尋ねた。

わたくしは幸人さんに虚偽は申せないので、答えに窮します」とイリスは言った。これはイリスにとっても幸人にとっても窮地に陥るケースでの彼女の回答で用いられる言い回しである。


「説明してくれる?答えられない理由は?」

「現在、我々は2つの窮地に陥っています。DeadEnd、BadEndが間近にまで迫っています。そして現在、中国に因る侵略行動が新たな戦争の呼び水と成りかねません。

わたくし達のやるべきことは本来はこの2つの終わり、2つの塔を打倒さなければいけません。

その個人的な動画のアップロードはそれらの解決前に仕込んだ物であり、その後に機能するはずでした。勿論、わたくしの記録を2つの終わりを越えられなかった時に残しておきたい、と言う意図もあります。

ですが今回露見したので現時点で話せないと言うわけです」イリスは淀みなく答えた。いつものように思いつきでやらかしたとかではないっぽいが。


「では、この個人的なハメ撮り動画が、3番めの終わりに対して一体何の、効果があるとでも?」幸人は素朴な疑問をぶつけてみる。

「沖ノ島君は契約を結ぶまでアレを本物と思って頂ければ良いのでバレたことで支障はありません、良いじゃないですか。見て貰えれば分かると思いますがアレがわたくしという前提知識無しに見ても分かりませんよ」とイリスは言うが彼女の色素が欠落した容姿は稀であろう。故に早々に露見しても可笑しくない。


「あ、まさか」イリスは自身の端末を見ながら言葉を漏らした。

「何か在った?」


「今さっきの動画サイトの、わたくしのアカウントが、凍結されました。理由は未成年のポルノと判断されたようです」イリスははぁ、とため息を付いた。

「ん?どういう事かな?」幸人は話の流れがわからない。


「説明できないというのは撤回します。説明可能になりました」イリスの顔色は悪い。どうやらこの流れは不味いらしい。

「つまり、3番めの終わりの兆候が今さっき来たってこと?」幸人が尋ねるとイリスは頷いた。


「まず、このポルノサイト、プレミアム会員になるのにクレジットカード決済しかありません。それ以外には仮想通貨?とかいうのが在るらしいですが、まあそんなのは今は結構です。問題は単なる一企業の意向で表現規制を複数の国に向けて可能に成ったという点です。そしてこのポルノサイトからクレジット会社が撤退しました。

これからの倫理規定モラルコードは、法理規定を越えた物に成りかねない、ということです。法理規定はその国で住んでいる者に適用されていて、倫理規定モラルコードはその下位っであれば、なんら問題はなかったのです。

ですが、これが顕すものはこれから国を超えて、1組織程度の意見が強制力を得るということです。これは人類が今まで積み上げてきた、手を血に染まりながら得た法理規定が、人治という倫理規定モラルコードに敗北して、

今再び、わたくし達は、人が組織で繋がる事によるこの最も強い力を手放し、そしてまた再発明するまでの気の長い時間を積み上げなければいけないのか?と思うとゾッとしますよ」

「つまり、このプライベートのポルノ動画のアップロードというのは君がその観測気球を打ち上げたってことでいいのかな?となると今、中国の侵略以外に何が起こっているのか?予想はつく?」幸人がそう言うとイリスは頷いた。


「これは、明らかにHysteria Endを討伐したい、プレイヤーの意向です。幹雄くんか、早紀さんのどちらかでしょうね。わたくしは早紀さんだと思ってますが、彼女の目的は理解らないんですよね」とイリスは不穏な言葉で締めくくった。



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