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異能生産(Dehumanize)  作者: 赤石学
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血と臓物 幕間2

血と臓物 幕間2



「どうしてこんなに事に……」簑笠府イリスは日常的に発情している女性である。大体は淫靡なことを考えていると言っても本人も否定しないのだ。だが、この度は彼女はとても不満そうに表情が怒りを表している。普段がまるで張り付いたようにニコニコとエロいイリスも可愛いが、それは人工的な美しさであると新庄幸人は常日頃思っていた。だから今の不機嫌を隠せないイリスは自然的な美になっていて魅力的だと思う。何時もご機嫌な人間など居ない。

「すげえ、似合ってるよ」ニヤニヤと幸人はイリスに素直な感想を答えた。手鏡をイリスに差し出すがイリスは顔を背ける。だが、追うように鏡を顔の前に持っていく。この意地悪がまた楽しい。


「幸人さん、憶えてなさいよ」イリスは普段の清楚系の服装に長髪ストレートロングの出で立ちではなく、芋ジャージの三つ編みに、黒縁メガネ。これがまた一層似合っている。何しろこちらが"本来の姿である"からだ。自然な姿に、自然な感情。それこそがこの調和を生み出していると言って良い。

「そうかな?イリスはずっと僕の本音を知りたかったんでしょ?」幸人はそういう。そう、そうなのだ。イリスをずっと不安に陥れ、快楽に耽るまで逃避させていたのは、幸人の想い人がイリスではない事である。それ故に躰で繋ぎ止めるしか手段を知らぬがゆえに心で繋ぎ止めるまで信頼を確信するにはまだ会って日が浅い二人である。


「つまりさ、こういう子が僕ら非モテには安心できるんだよ、勿論清楚系も良いんだけど心理的ハードル高すぎると言うね」幸人は正直な感想を吐露した。イリスが此処まで幸人に優しい理由が理解らなかった。それが幸人の不安であった。

「身近で、チョロそうで、ワンチャンスありそうだと?」イリスは意地が悪い。発言も鷹揚なものでなく、陰湿なものだ。


「まあ、そうだね。そういうのもあるけどさ」と幸人はイリスに身を寄せると、無造作にジャージのファスナーを下げる。部屋着のないイリス(普段から痴女じみた生態)は当然下着も芋くダサいということはなく、洗練されたエロ下着である。外皮はイモ、一皮むけばそこには臨戦態勢が整っている美少女。来ないわけがないのだ。

「ああ、わたくしが毎日苦労して、幸人さんをおっ立せてたのに、そんな無造作に、しかも幸人さんからの性的アプローチが来るとは!」イリスは日々の努力を無にされたことに不満が有りそうだが、しかしそれでも幸人がきちんとイリスを見てそういう気分になっているのに悪い気はしないのだった。


「いやあ、イリスさん。見た目は興味ないって感じなのに、本当はやる気満々じゃん?」と幸人はちょっと悪乗りして言った。それにイリスは苦笑する。

「幸人さん、純粋な疑問なんですが例えばこれが中身もイモ下着だったらどうなんですか?」イリスは純粋な疑問が生まれたのだった。


「んー、それはそれで良いんじゃないかな?と。もちろん普段の清楚系イリスさんも魅力的だよ、でも気を抜いた時に襲いかかりたいという気持ちもあった。だって常にイリスは常在戦場な所合ったからね、物怖じしちゃう自分が心に残っちゃう」と幸人はまた正直な心境を吐露する。

「と言う事はわたくし、そんなに無理矢理を圧してる、何てことはなかったと?」イリスは安堵した吐息を漏らす。彼女は普段から「わたくしが加害者、幸人さんは被害者。そこをはき違えないでくださいね」と主張していた。男性側が常に加害者という意識が彼女にはない。いい意味で差別心はないが、だからと言って彼女に呵責がないわけではない。


「そうだよ、だからイリスの本心も聞きたいかな?どうして僕が良いのかな?」幸人の一番の懸念はそこだ。イリスには婚約者が居る、だがそれは異能アビリティーを力として継承する古い家の家訓では血の濃い近親婚を強制する為に、彼女には実の叔父がその相手であった。それだけでは幸人を求めるイリスの心情を全部説明できないのだ。それが幸人の恐怖しているところである。

わたくしは、ですね。本当に言って良い?ドン引きしませんか?一応肉声を録音させてもらっていいですか?」イリスはマジである。本気でヤバいと思っているのだろう。まさかの録音して言質を取る構えである。


「いいよ、録音しても良いし、アズサさんにも証人になって貰おうか?」幸人はそう言うと

「はい、録音開始、梓もちゃんと聞いて」イリスは即座に録音のアプリを立ち上げて彼女の侍従の梓梢あずさ こずえに同席を強いた。本気度が高すぎてヤバい。


「はい、梓梢。証人として立ち会います。新庄様は御嬢様の本心、本音が聞きたい、とのこと。故に彼には真実を受け入れる義務があると思われます。ではお嬢様、告解をどうぞ」梓は茶番に付き合わされて大変機嫌悪そうである。

「告解って罪人じゃないんですから。まあ、では本心というか話さずに済めば良かったと思ってることを言います。幸人さんは自己評価が低いと思われます。何故なら」イリスは不満そうに言った。


「童貞は性病の恐れがありません。不特定多数の女性と関係を持ちそうにない、でも普通にエロい男なら需要はあります。わたくしはその為にそういう非モテの男性に好かれる要素を全部盛りにして、あわよくば芋女を卒業して淑女デビューしたかったのです!!」イリスの発言には一切の破綻点がなかった。恐るべき合理的な理由である。恐らくは通常の男には察せられない境地といえよう。こんなのが理解るかバカ。

「あー、そういう。そっかー、怖い程に誠実だったわ」幸人は呻いた。下半身に忠実すぎる。セックスさえ在れば良い、そんな生き方だ。その為に自身を偽る事も辞さない覚悟の上である。こんなのが分かってたまるか!


「それに、わたくしはいずれかの世界の終わり(Dead End)で、痕跡を残さず儚く消える運命でした。ならば、痕跡を遺したい、爪痕として思い出に遺る。ならば化粧をするように美しい、芋女ではない簑笠府イリスとして消えたい。故に非モテの方々皆の憧れる、清楚系でありながらこちらからアプローチをグイグイヤる、そんなわたくしを演出してプロデュースしたかったのです。これがわたくしの全てです。納得いきましたか?」イリスはニヤリと蠱惑的に微笑んだ。偽りと言えどここまで徹底すればそれはいつか着こなせるのだ、と言わんばかりである。

「ああ、もう僕にはイリスに対する疑念は雲散霧消したよ。確かに僕は性病持ってないし、これから他の女性と関係を結べるか?というと無いね。少なくともイリスが生きているなら、僕の隣で睨みを効かせるならそういう事は一生涯無いと誓っていいよ」幸人はイリスの告解に感服していた。この刹那の恋人を、この他人の女を自分のものにする、そんな覚悟も決まっていた。


「誓うよ、僕から契約を解消は絶対にない」幸人は胸に鼓舞を掲げて誓う。誓約成約(ダブルバインド)異能アビリティーが起動する。新たに結ばれた永久の証である。

「幸人さん、本当にわたくしでいいんですか?早紀さんでなく」イリスも目の端に光るものを称えながらその手を取る。とても神聖な絵画のような、場面である。


「そこはもう疑わないでよ。機会あらばってスケベ心は無い。何なら僕の不貞を謗る権利も認めるよ」

「理解りました、わたくしはその言葉だけで十分です。何しろわたくしの最初に結んだ契約で、そこだけは違えることは出来ない、という事でようやく成立している決まりごとです」うるうると嬉し涙で仕方がないという風に諦観ではない、希望の在る悟った顔で言った。


「御嬢様、本当に良かったですね。そこで疑問なんですが、なんでこんな事になったんですか?」と梓は、芋ジャージを着ている半裸のイリスに向けて言葉を放った。

「なんで、とは?」幸人も何故この流れになったのか?と疑問に感じたのだった。


「最初は、梓さんの異能アビリティー造幣局(MintHouse)が、何故かノルマを満たした、ってのをミッキーに報告したんだよね」幸人は事の始まりから説明した。

「ええ、そこでお嬢様が『幹雄君は今逃げいている賊を追跡中で忙しい』と仰っしゃられて、それで明日また、って事になったので、新庄様の誓約成約(ダブルバインド)において新しい、極限まで簡略した契約を試そうと私が発案し」梓はここまでは理解していた。


「うん、で、梓さんとどういう風にするか?って話になって、そこへイリスが待ったをかけた訳だね。理由が分からない」幸人は此処で首をひねった。謎の理論であったのだ。

「ええ、臓器は別に生殖器や、心肺でなくとも、喉も重要臓器に当てはまるとお嬢様自身が仰ったので、喉を使えば良いという話になって」梓も此処までに破綻はない。何故、イリスは芋ジャージになったのか?という謎は解けない。


「あ、そうだ。流石に通常の性交しないで良いって簡易契約なのに、口淫でなくとも普通に体液は唾液でいいじゃない?と結論を導き出して」幸人は、ようやく今回の事件の発端に辿り着いた。

「そうですよ!!わたくしですらまだ幸人さんから上の方の深いやつ(ディープキス)は求められてないのに!!寝取る気ですか!!」イリスはそこは譲れないと頑なに主張する。先程の流れと一言一句違わないのである。


「えー別に、お嬢様は既に下の口で、新庄様のを全部飲み込んでますし、上の口でも根本まで咥え込んでいると思われますが」梓の言い分も先程の流れ通りである。そうである。もうイリスの穴に未通の物はないのである。何故それが譲れないのだ?となったのだ。

わたくしはそんなシチュエーションにずっと憧れてるんです!幸人さんから求められて唾液嚥下はまだ達成していません!!」本当にイリスの脳みそはなんでこんなに残念なのか?分かった気で居たがまだ分からない。


「もう既に新庄様の下から出る子供の出来る白い体液は、お嬢様は既に何度も飲んでいると仰っていたじゃないですか?なんで私が飲む唾液くらい普通に流せないんですか?」

わたくしは、幸人さんの全部を独占して、新規参入を赦さない!わたくしが終えてから、してください。はい、幸人さん口を開けて下さい!!今から飲みますので!」という感じでイリスが拘るシチュエーションの重要性を説き始めたのだった。


「じゃあ、僕の拘るシチュエーションもやろうよ、ってところで」幸人は言うと、イリスがさっと目をそらした。

「はい、お嬢様の実家での生態のお話に繋がりましたね。ここでようやく事件の全容が見えました。何というか、パワーレベリングしすぎて過程で拾える実績を拾いそこねてますね」梓はウンザリして言った。


「うぐぐぐ。しかしこれだけ譲れません、さあ早く。お願いします」とアンと口を開けてイリスが早く出せ、と促してくる。幸人は梓に視線を飛ばすが、諦めて下さいという風に顔を振った。

「んじゃまあ、はい」と幸人は大量の唾液を、舌と一緒にイリスの口腔、その奥喉元に直接流し込んだ。今更舌でイリスの口腔を犯したところで、もっと酷いことをイリスに対して行っていたのだが、イリスの反応がうぶすぎた。トロンとした眼差しを称えた芋ジャージ黒縁メガネの美少女のそれはヤバい。


梓梢が、事の流れをいち早く察して、即座に退室した。ありがとうと幸人は心の中で感謝をして、そのままイリスとの情事を楽しんだ。

なお、その後にイリスは果てて気を失っている間に、梓との簡易契約の実験で唾液を流し込んだ時の梓の表情もやばかった。


「新庄様、これはどうかと思われます。これ流れで押し倒されても梢は抵抗せずに流されそうです。もっと御嬢様とこれを為さって下さい」梓は赤面して息絶え絶えになりながら言ってきた。

「ああ、とにかくイリスのせいで僕もどうかしてたわ。うんそうだね、これ女性とヤッたら即下半身でも繋がれるやつだったわ」幸人は反省した。


なお、簡易契約は見事に梓梢を縛ることに成功したが、これをこれから新たに増えた敵の異能アビリティー持ちを味方に引き入れる際に、性別問わずこれでヤるのは憚れることとなった。

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