血と臓物2
血と臓物2
「異能を媒介する、という体液と臓器に関して、もっと詰めたいが良いかな?何故精液であって、血液、汗ではない?」
「まずはこれは貴賤と創り、力を神聖化する。そうして異能である力が下へと流れる、という物理学とオカルトを合成した理念です。そしてこれは支持されました」
「誰が支持を?」
「圧倒的な多数、相対的ゾンビです。この世界は民主主義的に倫理規定と法理規定が決められます。幸人さんと出会った時にまず私が確認したのはこの規定が即座に決まることでした。
そしてそれは私の仮説通りでした、この世界は皆が求めれば決まり、求めなければ消える。そういう規定があります。故に世界そのものを変えるか、滅ぼすしかありません」
「血液で媒介するのは親子だけなのは何故?」
「貴種から流す血はとても貴重です。故に同じバランスでなくては媒介しない、と。そして血液は輸血の規定を受けることになります。これは倫理規程と法理規定、物理規定に依るものです。
例えば血を他人のために流すのは、倫理規定禁忌に近い行為とされます。例えば私が昼歩行者を得たとして、幸人さんの血を求めることは不可能です。
何故ならそれは主を失血死の危険に陥れる行為だからです。勿論、契約前には可能かもしれませんが、その後の血の受け渡しは貴賤の上位下位を逆転させかねません。因って血では力は継承不可能と言っていいでしょう、
ただしですが、子供が親からの血を引く際に力を媒介するのはその抜け道ゆえ、と言いかえることも出来ます。それ倫理規定で血を引くのは尊いとされるし、法理規定も認めるところでしょうし、物理規定も認めるはずです」
「なるほど、それでは輸血とかでも男性同士では異能の受け渡しはない、と?」
「まずは男性には子宮がないことが上げられます。先程申した通りに子宮は母子間での力の継承において避けることが不可能な臓器です。此処でのみ血液、というよりは体液による媒介が可能になります。
実際には血液型不一致などの問題も在るんですが、此処らへんは十二奥家も医学が発達していない時代でも経験則で知っている様でして、不適合妊娠は極力避けてきたようです」
「なるほどね、じゃあ誓約成約で結合組織を操作する異能を使って首枷を創ったのは、喉という契約内容を明言化した場合に即座に縛るため、なわけだね」
「はい、それなら簡易的に延長契約も可能なのは実証済みです、これは幸人さんが重症を負った際に私が主人を守るという盟約を果たす為に主人の幸人さんを通常の延長契約を先送りにしても無敵が解除されないようにする為であり、これから敵の異能持ちをこちらの配下に統める際にも有効と思われたからです」
「他にも、異能に関する、臓器は脳、心肺、くらいでいいのかな?」
「はい。その通りです、幸人さんが考案した、結合組織である血管を束ねた組織に血液を流入させる事で急性の貧血を引き起こし、喉や、心肺による契約に匹敵する契約破りへの断罪が可能と成るならば新しい力の継承ルートも開拓できるかも知れません」
「なるほど、今は他に試す相手も居ないけど、十二奥家の息の掛かった異能持ちが出たら、やってみるか」
「それも良いんですが、梓梢にそれを行っていみるのはどうでしょうか?元々彼女も異能を持つべきと思います。今回の彼女が異能生産を得たというのは、彼女に空いたスキル枠がったからですし。これが埋まっていれば二度と同じ事件は起こりえません」
「この梓梢、力を得ることにはお嬢様と同じく賛成です。まずは弱めの異能で付与してもらい、それを条件に幸人様に害せないと縛ってみるのは如何でしょう?」梓は自身が求める異能に関してアイディアが在るようである。
「些細な異能、それはどんなのかな?」
「えと、この辺はドラッグストア、スーパー、レストランチェーン店など、とにかく店によって独自のポイントカードなどが乱立しており管理が面倒くさいことこの上ない」と言って梓は財布から大量のポイントカードを取り出した。その数大凡20~30くらいだろうか。これを管理するには買い物の度に手間がかかりそうだ。レジも大渋滞するだろう。
「つまり、このポイントを一括でまとめる、みたいな異能?」幸人は本当にささやかなもので笑ってしまった。
「これなら実験に最適かと。出来ても私の生活が便利に成る。幸人様とお嬢様は仮説の一つが実証されると。良い事づく目です」梓は得意満面の笑顔である。
「じゃあ、そうだな。造幣局みたいなノリで。どうぞ、梢さん」と幸人はその場で異能を作り上げ、梓に付与した。
「おお、これが異能ですか。私みたいな侍従が得られるとは。と言ってもこれは本当に生活がちょっと便利に成るだけ、なわけですが」早速梓は大量のポイントカードのポイントを一箇所にまとめ始めた、おお便利だ言いながらである。
「おや、幸人さん?どうかしましたか?」イリスは幸人の困惑の表情を見逃さずに尋ねた。
「梓さんに付与した造幣局だけど、ノルマ達しちゃったよ、これ」幸人は困惑の色を隠せない。この異能はショボい筈だったのだ。
「では、悪用することも可能だと?」梓はふとした思いつきがこんな大事に成るとは思わなかったのだ。
「分からない。この異能の利用方法では、まず最初にお金を使わないと貯まるポイントでしかない、造幣局と命名したけど、ポイントを無から生成できたりはしない、筈だよな?」幸人にはこの異能の悪用法が分からなかったのだ。




