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異能生産(Dehumanize)  作者: 赤石学
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悪夢の途上

悪夢の途上



新庄幸人は夜中に目が覚めた。喉が渇いたし、小用を行いたいと思ったのである。そうして真っ暗な部屋を出て、そこで簑笠府イリスという幸人の一時の愛人である美少女と遭遇した。

イリスの姿を見た瞬間に幸人はイリスにドン引きしていた。


イリスはとても可愛いが脳みそに致命的な欠陥を抱えており、優秀な頭脳は常に情欲にパフォーマンスを奪われており、未だにその本領を発揮できていない。むしろ性欲の擬人化が幻想ちゃんの正体と思われた。

そんな彼女が、とても太い大根を持ったまま、全裸で佇んでいたのである。状況証拠は揃っているのだ。


「待って!待ってください!」イリスは叫んだ。

「いや、いいから。僕は理解有る方だと思うよ」幸人はそのまま用を足して眠りにつきたかったのだ。確かに今日は彼女を満足させたか?と言うと自信がない。


「その顔見れば分かります!!絶対にあらぬ誤解をしてます!!いえ、わたくしの普段の言動が原因とは理解りますが誤解です!説明をさせて下さい、10分、いえ5分、3分です!!それだけ時間を下さい!!」イリスは一気呵成にまくし立てた。

「ああ、うん」幸人は大人しくその通りにした。イリスの鬼気迫る顔が怖かったのだ。



「本当はきちんと寝かせておきたかったんですが、はいどうぞ」とイリスは小皿をテーブルに並べる。時間がなかったのでネグリジェのみ着用している。勿論彼女が実用性のある下着を重要視してるため、着ている意味があるのか?という疑問が湧く透明度である。

「これは?」幸人は白い立方体を眺めながら問うた。


「漬物です。ピクルスもあります。此方は自信作ですが幸人さんの嗜好をまだ把握できてませんのでジャパニーズ漬物と、そうでないものを用意しようとしたんですが」とイリスは更に小皿を並べていく。

「あ、美味しいね。漬物は臭くて苦手と思ったけど、風味がイイね」幸人はあまり食事に拘らなかった。だからこそか、漬物をほとんど摂らずに生きてきたのだ。


「やはり、臭みは抑えていて正解でしたか。食わず嫌いの原因の大抵は癖の有る食料だったりしますし、調理方法がキチンとしていなかったり、無理やり食べさせたりすると偏食になっちゃいますね」とイリスは満足そう。そんな彼女が一番魅力的であるのは本当に皮肉としか言いようがない。何故、普通に出会えなかったのか?残念でならない。

「ああ、こっちは大根か。色々味付けが有るんだね。だからあの大きさのものが必要だったのか」ようやく幸人はイリスの行動に別の回答を導き出せた。


「はい、そうです。別に欲求不満だったりしません。そもそも"本物が有る"のに、何が悲しくて血の通ってない張型とか、食材で己を慰めなきゃいけないんですか!もうちょっとわたくしの貞淑さを信じて下さい」イリスはぷんすかという感じで腹を立てている。

「でも、巨大なサイズを求める方向性が暴走した、って可能性もありうるじゃんよー」幸人はイリスには悪いが仕方がないという感じである。イリスはそもそも13(3)→23(8)みたいなアホみたいなインフレーションを一夜で飲み込んだ女傑である。更に1日経過したらどうなるだろうか?この考えはおかしくはないと思う。


「なんで!幸人さんのサイズより大きいのを突っ込むんですか!わたくしは其処は譲れません!血が通ってない、心が籠もってないモノは虚しいだけです」寂しげな表情のイリスである。まるで不定を疑われた淑女の如くである。そうなると幸人は何とか言い募ろうとしたが、何も出てこなかった。

「ゴメンね、まあ、ピクルスと大根の漬物美味しいよ、残念なのは白いご飯が欲しくなるところだね」幸人は出されたものを平らげることで誠意を示そうとした。


「それはそうですね、わたくしも小腹が空きました。偶には夜食も良いものです。用意させましょう」イリスは機嫌を直した。何とか成功したらしい。

「ホテルの人、梓さんとかもう寝てないかな?」幸人は心配になった。この淫婦少女に仕える、哀れな従者の従者は結構な年上の美人さんである。色んな無茶振りに答えてくれる親切な人である。給金見合っていると良いんだが。


「其処は大丈夫です、買い置きのパック白米なので、レンジですぐですよ」イリスは手抜きの仕方も余念がない。ここで時間を掛けてしまうような本末転倒な判断はしない、しないのだが。

「ああ、そうなんだ。じゃあもらおうか?」と幸人が言うと。


「ところで、食欲を満たしたら性欲が萎えたりってしませんか?」イリスはイリスであった。そこは悲しいかな、どれだけ魅力的な長所が有ろうと平常運転のイリスは大体股間を見ている、次点が幸人の表情を見ているのが救いであった。

「睡魔に負ける程度だけど」有るには有る。まあ、睡魔に負ける気満々である。奇行の謎は解けた、ではそろそろ床に戻ろうという気持ちが強くなってきた。


「床に戻りますか?じゃあそこに持っていく、摘み食いに最適な肉がありますが?」とメニュー増やすみたいな感じで言うが、それは血が流れている類の枕であろう。その名を簑笠府イリスと言う。

「いや、ご飯だけでいいかなー。今は脂身は良いかなー」幸人は逃げたくなった。


「いえいえ、赤身肉ですよー、さあさあ、今が一番良い時期のA5肉もありますよー、シャトーブリアンと言ってもいいですね、自画自賛ですが」とイリスは既に臨戦態勢に入っている。彼女は寝技(意味深)に特化してる。力づくではないが、此方を押し倒す手管、技術は冴え渡っている。いずれ敵対者が出たら彼女の戦闘力は頼りになるだろう、が今は主に契約主である幸人をベッドに伏させることにしか発揮されていないのは幸福なんおだろう。

「あー、こうなってしまったか」幸人は完全に腰を抑えられて上に乗られてしまった。こうなると格闘技の経験がない幸人はイリスには敵わないのだ。


こうして若き男女は、残り時間の僅かな間に一夜の夢、もっともそれは悪夢だが、それを結ぶのだ。どうかそれがDEAD ENDまで辿り着けますように、と願わずに居られなかったのだ。



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