幕間4
幕間
「何が言い分があれば聞くけど?」新庄幸人はそう簑笠府イリスに訪ねた。
「ございません」イリスは言い訳をしなかった。実際に無敵の誓いに抵触する違反言動と、その後に幸人の第2の異能の誓約成約によって助けられた。
「私に否がありますのは違いありません」イリスは正直にそういった。あの時にベターな回答とは言え、聞かれる可能性もあった。梓梢、イリスの侍従である彼女に幸人の行動を制限させてしまえば、それは幻想で済んだ。
だが、今は彼女の首には幸人との主従契約を監視し、なおかつ契約を簡易化し、主人の慈悲を延長する誓約成約によって造られた肉と皮の首輪があった。
これは離れたイリスを助けるためと幸人が考案した、お互いの血肉、結合組織を作り変えて喉元を簡易契約臓器として扱うというものである。
イリスと幸人の、いや異能生産という破壊しか呼び込まない異能のみを創る目的のモノを防御、それもあらゆる被害を無害化する無敵を本来の用途は違う、歪めて成立させて保たれているモノである。
これには、心臓、脳、といった損傷を受ければ即死しかねない臓器を曝け出して契約を結ぶことで成功したのだ。これはイリスの前々からの、異能に対する知識と、その応用の仮説と思考実験とで導き出した契約術である。
だからこそイリスは、イリスの少女性、処女性、彼女の将来の伴侶を投げ捨てることで、三重に強力な防御異能を結ぶことに成功した。いやただ単に性交した訳だが。
イリスは、幻想ちゃんと呼ばれる少女は、この契約だけで満足していない。彼女には彼女の、意地と言うか、矜持があったのだ。
それだけに終わらない、何かを負っていた、追っていたのだった。
「後生です、私は死にたくない。再契約の機会を、この端女にお与えください」イリスは頭を地にへばりつけるように、しかもそれでいて旧家の家の令嬢の気品さは失われていない。だからこそ、この懇願には意味があった。それを無理やり手折るようなそんな衝動を湧かせる、冥闇の底にだけ咲く花にしかない無垢な華。
「となれば、何をすれば良いのか?理解るよね?」幸人はワザとそう言った。そろそろこのイリスという少女に振り回されている自身から脱却したいのだ。幸人には曲がりなりにも男の子であった。そういう生き方は好みではないが、彼の心の闇の奥底には輝くそれがあったのだ。
「……、ふふふ。まあ色々と邪魔が入って目論見が外れましたが幸人さんの期待に応えられると思いますが?」イリスは仕方ないなあ、という風体で身に纏った衣服を脱いでいく。
「狡いなあ」幸人はこのイリスの言動を咎めていたのに、実際には何をやってもこの色情魔には痛痒も、微塵も通用しないみたいなのだ。此奴をちょっとだけやり過ぎました!と言わせてやりたい。
イリスの服の下から現れたのは、昨日皆と遊びにいった時の水着とは違う、これまた露出度の高い、この淫婦に相応しい紐の様なモノだ。だがそれだけに留まらない意匠が彼女自身によって為されていたのだ。
「結局はそれか。全く君は人の嫌な予感を外さない人だな」幸人はちょいとドン引きして言った。
「それはもう安堵と、予想を外すその落差が飽きさせない工夫ですので、ふふふ」イリスは彼女以外の女性が来たら似合わない、いや似合うことこそが可笑しいのだが、その局部だけを隠すマクロビキニが怖いくらいにイリスを魅力的に魅せている。
健康的な日焼けの跡が、常識的な水着に因る日焼け跡が、この露出度の高い極小の布地を組み合わさって、醸し出す淫靡さが堪らない。なるほどイリスという少女は幸人の嗜好性も把握しつつあるといえる。
「どうでしょうかこれ?幸人さんの趣味嗜好とそうは外していない感じですが、如何ですか?率直な意見を私に是非ともお聞かせ願いたいです」イリスは流石に此処までやるのは恥ずかしいという所作が完璧である。この女の本性を識っているのにも関わらずにだ。
「すげえ、イヤラシイ。が似合っているね。なるほど君が日焼けしたいという大目的と、こういう愉しみ方も在るって小目的もこういう事だったのか。うん、良いね。ありがとう」幸人は感嘆した。彼女の言動はともかく、徹底的に拘るのだろう。肉欲に対してもだ。
「では!そろそろ本契約の更新を!」イリスはビーチパラソルの下、ビーチチェアで横になっている幸人の側にずずいとすり寄ってきて、そろりと幸人の水着に手をかけようとしていた。
「いいよじゃあ」と幸人はチェアから起きてきてイリスの前に立った。幸人もイリスと同じく昨日のプールとは違う水着である。これはヤリチン御用達のブーメランパンツである。イリスには「何でもします、何してもいいですから!」という強い圧しに負けて着たものである。鏡を見てこれはないな、これは。と二度ドン引きしたのである。
「では、私の要望通りとのこと。幸人さんの幸人さんはどう、なっ……て?」とイリスは言葉を失った。
「君の、かつてからの要望通りに"大きくしてみた"けど?」幸人はイリスの命を延命している血液などの結合組織を操作する異能で、今までの貧弱な幸人は無くなっている。痩せていながらも筋肉が付いている、所謂細マッチョと呼ばれるくらいにはバンプアップされている。これが昨日とは違う幸人である、勿論"幸人自身もそうではない"。
「いやいやいや。幸人さん!貴方はそういう、こういう願望がお有りでしたの?これではまるで下品な中学生みたいなノリじゃないですか!10cmがキリが良いから伸ばしてみた、って安易な発想の感じじゃないですか?!」
「そうかな?」幸人はすっとぼけた。幸人の狙いはイリスとの半ば強引な流れでのこの関係で主導権を握ることであった。イリスは淫婦だが、貞淑な淫婦である。
多分浮気とか、他の男を見たりしない。手に入れたものを他に良いものがあるとか考えないタイプだ。手を差し伸ばしてそれを握る者が欲しい、それだけだろう。
彼女の満足は、欲しいものはありきたりなのだ。だがそれでは今後も主導権は彼女のものだ、それは男の沽券にかかわる。だからこそ、オーバーキル。そんな威力の巨砲が必要なのだ。
「これは、オリジナルの幸人さんが男性平均の13cmでしたから、これは23cm以上はありますよね?大きければ良い、ってそんな浅はかな!もっと細かく刻みましょうよ!」イリスはそう言いながらも目の前の凶器に釘付けである。
「でもこれくらい合ったほうが君には良くないかな?にやにや」と幸人は狼狽えるイリス、しかも性において来る者拒まずという妖婦イリスから素顔を引き出したという感じで大変満足した。自分でもこのサイズはどうだろうか?と思ったのだが。そうでなければこの女の意表はつけまい。幸人もイリスが己の尊厳を投げ捨てたように、幸人もそれに倣って非モテの尊厳を捨てた。草ばかりではなく肉を食べようと新しい道に身を投じてみた。それこそがブーメランパンツと、この巨砲である。生まれ持っての個性など甘えである。
「で、どうする?僕が間違えてサイズを誤っちゃったけど。期間延長契約は今日中に結ばないとね?」幸人は自慢げに言った。正直言えばこのイリスが恐怖を感じている、という時点で幸人には新たな、今までなかった衝動が、自身の個性ではないと思っていたものが合ったのを己の中に発見していた。
「待って!待ってください!一つだけ確かめさせてください……」イリスは心臓を抑えながら考える。ハァハァと言いながら苦痛に喘ぐようにか細い声で言った。
「??何を?」幸人はドキドキしながらイリスに問うた。
「このサイズはありえません。私は長さとか太さとかに拘りはありません。が、質には拘ります。かつて母様が姉様と私に話していました。硬度こそが求めるものだと。父様の、この国の漢のそれはサイズでは母様の本国の漢のそれには敵いません。ですが、ふにゃちん。自重を支えられないソレにはない良さが在ると」イリスは余程の拘りがあるのか、彼女の姉と母の致命的な秘密を開陳しながらもブツブツと呟いている。
「そこはまあ、僕の企業努力の機密情報なのだけど。確かめてどうぞ?」幸人は自身満々の態度である。幸人自身も自身があるように直立不動である。
「嘘!このサイズと太さで、幸人さんのオリジナルの高度を維持?あり得ませんわ、だって海綿体は血液を充填させるわけですから、それ相応の血液量が無ければ血液量保存の法則に依ると母様の言では……」イリスは新しく生まれ変わった幸人のそれをそっと撫でるように、爪を立てたりしないように慎重に、そして精査すると驚愕の声を上げた。
「嘘、嘘ですわ」と根っこから先端の硬度を確認して言った。
「そんな、こんな」と亀頭の一番の太い部分がイリスの人差し指と親指が包むように持とうとしても届かない事に驚愕したりしている。
非常に残念だが、幼い容姿と、肉欲的な行動がミスマッチしていたイリスに相応しい、初めての動揺した態度がとても可愛い。
「セーフワードを決めましょう!」イリスはそれだけを言った。
「は?」幸人はあっけにとられた。
セーフワードとはそういうプレイに興じる人達が、プレイを続行しても良い言葉と、すぐさまにプレイを中止する言葉と予め決めることで安全にハードはプレイを楽しむ為に考えたものだ。
幸人は先日はイリスとの関係性についての不安を検索をかけて出てきた事例がこのセーフワードである。
「君は、"コレ"を受け入れる気なの?」幸人はこれはブラフだったのだ。誓約成約は創ることだけでなく、別のものに創る変えることもできるのだ。だからちょうどいいサイズってのにも戻すことができる。この規格外のサイズはブラフであった。
「しかたありませんよ、これは不測の事態というやつです。私もこうなれば腹が据わりました。私が懐の深い女だと示してみましょう!」悲壮な決意でそう言ってのけた。よく見ると彼女の目は正気ではない。
・
・
・
暑い日差しを避けるように、全裸の男女がまぐわっている。
幸人の男性器のサイズは、イリスの女性器の内部の長さを遥かに超える。
これを無理矢理にイリスの秘処をこじ開けるように挿れる。とすぐさまにイリスは悲鳴を上げた。
「無理無理!裂けちゃう!死んじゃう!」イリスはメリメリとこじ開けられ、内部へ侵入するにしたがって悲鳴を上げた。
「……」幸人はこれらのワードがレッドと言われるセーフワードではないのに驚愕している。そう、キツイけど緩めて、と言うイエローでも、即時停止のレッドでもない。
「あぐああああ、止めて止めて、お願い許して幸人さん……」イリスの狭い、そして短い膣を凶悪なサイズの幸人の逸物が沈み込んでいく。イリスの女性器が極太ペニスと一緒に巻き込まれるように巻き込まれる。ここで流石の彼女も挿入の余裕を取り繕う余裕がなくなったと言える。筈なのだがこの期の及んでも彼女の口からセーフワードが出ることはない。プレイは続行。もしくは「まだヌルいので強めにしても良い」という言葉まで飛び出した。因みに「許して幸人さん」が「もう少し強めでいい」という意味である。これ取り違えていないよね?
「……(それでも最後までやる気満々なんだな、この娘。怖いわ)」幸人はイリスの一番最奥にまで到達した。しかし、まだ半分近く残っている。この残り15cm全部奥底に収めるまでイリスの苦痛の声が響き続いていた。
・
・
・
最後までイリスは音を上げなかった。幸人も恐々としながら最後にはノリノリでまぐわっていたかもしれない。新しい道は満ち過ぎて、未知すぎて怖い。
「あああ、僕はなんとしたことを!」と幸人が思っていたらイリスがのそって起きてきてこういった。
「ふふふふふ、もう幸人さんはお上手ですね。私の要望の奥底の本音をまで汲んでいただけるとは」イリスは満面の笑み、頬を紅潮させていった。これは間違いなく性的興奮の余韻に依るものだろう。
「やっぱり君も巨大なので突かれるのが良いのかな?」幸人は問うた。男なら誰もが恐れる疑いである。
「違います、幸人さんが、私の要望に答えて、そして一度も手を緩めるなく、完遂してくれたことです」イリスは、幸人のそれが根本まで入り切るまで。一度たりとも目を逸らさずにやり遂げた。
それどころか、ヘソの上まで先端が到達した事に歓喜して昂奮していた、女性の膣は性的興奮で伸びるらしい。だがイリスのそれは延長率が半端ないのであろう。最後には彼女の臀部と、幸人の腰が打ち合う音さえ出ていた。
「ふう、満腹私悦。信じられません。これが」と言ってアリスは幸人の今なお衰えないそれに定規を当てて、そのまま自身の下腹部まで持ってきて。
「ここまで挿入できたんですねえ」とイリスはたいへんご満足のようである。その定規の指すところは胃の下まで届きそうではないか?という感じだ。
「お腹は苦しくなかった?」幸人は聞いた。
「それはなかったですね。それもこれも幸人さんが抽送を繰り替えすのではなく、弱い所を押して、穿る、といった技工の技術で最後までやり遂げた事が大変嬉しかったです、良かったと言えば最後まで萎えなかった硬度ですね。私が実家に籠もっている時はポルノサイトも見てましたが、大きいのって侍従で耐えきれないし、先端は細いのもありがちでって感じでしたのに」やはりイリスは相当のエロである。おそらく無修正で相当数を見てきたのだろう。
「それはね、今回君の要望を聞いて、自身のこれを大きくしたのは、海綿体に流れ込む血液を体内に余分に確保できたので、これを使って所謂、心臓ではないが、血を貯めて置ける結合組織を骨盤底筋付近に新たに創造して筋力で血液を充填、そこから海綿体に勃起維持を出来るだけの血液が確保されて流れ込んで硬度維持を最後まで可能にしたんだね」と幸人は誓約成約の活用法の秘密を説明した。
「それは、面白い発想ですね。誓約成約の本来の仕様意図ではないですが、出血した時の為に自身でプールしていた血で賄えるってのは緩衝という風に使えますね」イリスは幸人の答えに感嘆した。
「いや、もっといい方法があるよ。誓約成約は契約の補助のための異能だ。これには臓器の媒が居る。でもこれで体内の隙間に血液をプールする事で、そこへ大量の血を流し込めば、出血させずに無理やり擬似的な大量出血による脳や、重要器官に血を流せる血が足りなくなる。
これで意図的にその人造結合組織が、本来備わってないから重要な臓器となり得なかった誓約成約の弱点であったけど、こういう温暖な攻撃手段を併用すればその人物、つまり性別問わずに僕は契約を行えると思うんだよね。これなら僕はイリス、君以外に同じ様な契約をしなくて良いんじゃないかってさ」幸人の言葉を聞いて。
イリスは「それだああああ!」と、叫んで幸人の胸へ飛び込んだのだった。二人の間に欠けていた、マスターピースがハマった瞬間である。だが、それはバッドエンドの、塔の建立の兆しであった。




