幕間
幕間
リゾート。夏のモノと為れば格別と成る。彼らは今屋外のプールにみんなで遊びに来ている。オフ会、しかも水着回である。
陰キャには縁のないイベント。しかも異性が参加すると成ると更なるレアイベントである。
だが、実現した。割といい家筋の、旧家の長男である真行院幹雄の尽力である。
彼らは本来縁の結ばれない間柄であったが、同じゲームを攻略するチームの同士である。
「たまらんな、絶景だ」無遠慮な視線を放ちながら山乃原が華美な女性陣の水着姿に感動の言葉を放つ。
「セクハラだとは思うがな、俺も同意見だ」沖ノ島もちらちらと視線を飛ばしながら彼に賛同した。
烏竜原洋子は、プレイヤーネームは「$子」さん。無謀な突撃を好む血の気の多いプレイヤーだが水着は地味だが趣味が良いビキニだ。
御手洗苑子のプレイヤーネームは「まどか」さん。まさか彼女らの名前は通貨繋がりと知ったのは先日グランドマスターを達成した後の打ち上げボイチャでの出来事である。彼女はまさかのハイレグワンピ。と言ってもグラビアみたいなエグい角度ではないのは常識的であろう。その範囲でのサービス心に信仰さえ生まれそうだ。
そして彼女らに発奮を促して連れてきた四ノ原早紀、クラン「エターナルぷらねっつ」の鬼の進行役管理責任者、そしてぷらねっつのマドンナ。本人は無難なヒラヒラの付いた水着。まあ、ヘソを出す時点で努力したと言わんばかり。
しかし、新庄幸人。クランマスターの彼は早紀の意図を正確に読んでいた。つまりは付属品は体のラインを誤魔化す意図であろうということだ。凹凸は女性陣の中で一番控えめ。同じ土俵で戦えば敗残者になろう。
男性陣の視線を全部奪うのが期待の新人、簑笠府イリス。彼女はその肢体にぴったりフィットした競泳水着。実用性のみを追求したそのデザインは早紀に並ぶ容姿の持ち主であるイリスが身に纏うことで
清楚でありながら艶めかしい、という印象を感じさせた。
「すげえな、イリスチャン……」山乃原は熱心的な早紀信者であるがイリスの魅力を認めないわけにはいかなかった。
「ああ、本人は泳ぐ気満々ってことなんだろうけど。今まで昼の外に出れなかったから、水着なんて実用性しか見てない、考慮してない言ってのが最高にたまらんわ。クラマス、イリスちゃんはどうよ?」沖ノ島は幸人に話を振る。
「正直ドキドキしてるよ」幸人は言った。ウンウンと頷く陰キャ三人衆。だが幸人の不安はイリスが露出癖がある、かつ淫蕩なその本性を暴露しかねないか?という今日の開催の不安要素であったが、淫靡な物を隠しきったとは言えないが及第点であろう。世間知らずだからとい言い逃れが出来る小癪なラインを攻めてきている。
「あら、新庄君はイリスがお気に入りですか?」四ノ原早紀は珍しく真行院幹雄の側には居ない。幹雄は今裏方業務に専念している。
「まあ、物珍しい、というか昼歩行者が機能しているとは言え、露出度を上げるというのがハラハラしたよ」幸人は完璧に言い逃れした。
「なるほど、異能生産で彼女に異能を与えた責任というものですか」四ノ原早紀は新庄幸人の表情が完璧であったのを注意深く見ている。
「え?他になにか?」幸人は一応、陰キャかつ以前の新庄幸人が取るであろう反応を忠実に行ってみせた。今の彼がイリスと懇意になって、既にセックスフレンド契約よりも酷い肉奴隷契約に親しい関係とはいえない。正直、イリスの競泳水着姿が幸人の好みのどストライクだったのを鋼の精神で抑え込んでいるのだ。
「いえ、何も。ではしんじょう君も楽しんで言ってください。私の友人達の折角の出血大サービスなのですから」と早紀は幹雄の元へと行った。
幸人は大分、疑われているな?と思った。無理もない。イリスと早紀は他の皆の前では親友だが、競争相手である。それにおいて新庄幸人の立ち位置は大駒の扱いに相当する。
奪われれば負けもあり得る。既に幸人がイリスに囲われているとうのは隠し通したい。2020年初頭のDEAD ENDまでは、だ。
つつがなく水着イベントは終了した。美味しい昼食、夜はガッツリと食べごたえの在るもの。
そしてお別れの乾杯をして現地解散となった。
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「幸人さんは誰が、一番好みでしたか?女性陣の中で」イリスは帰宅途中で聞いてきた。
「悔しいけど、イリスが一番かな。ハラハラさせられて割りとオーソドックスというか、悪くない」幸人は素直に答えた。
「で?どうだった?プールは?」
「見てください!この腕の色!日焼けですよ!!私がこんな小麦色とまで行きませんでしたがそれなりに健康的な肌になったんじゃないですか?」
「ああ、うん。今までは病的な綺麗さだったけど、今のは健康的な綺麗さだね」
「ふふふ、ありがとうございます。んで、今度うちのプライベートビーチには何時頃来ますか?次は邪魔者なしの海ですよ?」イリスはニヤニヤと言った。
「……多分予想通りなんだろうな」諦観の気持ちで幸人はボヤいた。今度はど直球が来るだろう。
「良いじゃないですか?夏は他にもイベントはありますし、夜の祭りも良いものですよ、此方は私が案内しますので」イリスはふふふと笑いながら言った。
「楽しみにしてるよ」幸人はこう言ったが、この言葉を後悔する羽目になった。イリスはやはり同しようもないスケベ女だったのだと。




