何某さんの休憩時間(2009年)
「きちんと、録画は切った?」何某は幻想ちゃんと呼ぶ少女に、そう尋ねた。
「はい、切ってあります」幻想ちゃんは録画機器の確認をした。録画は止めてある。
「君も因果なものだね。君がそれを見届けられないというのに、そこに描けるしか無い。後悔するよ」何某さんはこう言うが、そうとは思えない。
「だって、2日足りない、2日の猶予が有る、よりかは1日足りない、1日しか猶予がない、の方が絶無に近いとは言え、可能性は繋げられます」幻想ちゃんの答えは満点だった。
惜しい。どうしてこの順序が逆ではないのか?何某はお得意の時空犯罪で入れ替え子をしたい欲に捉われるが、それをするのは誠意ではない。
自己満足、盤上に2枚めの歩を打つ、チェックの掛かってない時点でのキャスリング。極上の棋譜に染みを遺すような所業。何某はそんな人物ではない。
「月が綺麗だよね」何某はそう言った。
「輝く月は凶兆の顕れと聞きますが?」幻想ちゃんはいい感じはしない。
「さてと、君には関係ないが、デッドエンドとバッドエンドは本来は討伐可能な存在ではない。放置すれば必ず一つの首も討伐できずに終わる。だけどまあ、そこはボクが何とかしよう。君には安心してこのレースから脱落して欲しい」何某は微笑みをたたえながら言った。
「順番は?どっちが先に?」幻想ちゃんは今から10年後にそれに遭遇する前に脱落するのである。
「まあ、良いだろう。録画してないなら言ってもいいか、バッドエンドが先に来て、これを放置したらバッドエンドで終わる。対処したらデッドエンドで終わる。それを越えてもそしてドリームエンドが討伐されて終わる」何某は八方塞がりだね?と言った。
「でも、1日の不足と、1日の猶予を越えたなら、後に繋げられれば、勝ち目はあります」幻想ちゃんはそう断言した。が、これは自身の死を飲み込もなければ言える台詞ではない。
「よろしい、今を持って君はHappyEndの為に礎になってもらう。では録画を開始しよう。後、録画機器のアングル、つまり目線の位置には気をつけてね。些細なことからこの動画から真相に至れては不味い」何某の手筈に不備はなかった。
「はい、これから私は乗っ取りを行うわけですね?」幻想ちゃんはそう言って録画機器を彼女の目線より"低くした"。
「そうだね、君は乗っ取りをしなければいけない。まあ、悪いことにはならないよ、そこは保証しよう。それに幻想ちゃんの相手もそれなりのバディを用意するのは約束しよう」何某さんはそう言ってニヤニヤと言った。
「それは、私の好みとは遠いのでしょうね?」幻想ちゃんは自虐的に言った。正確には彼女の趣味ではないのではなく、この録画を見る人物にへ宛ててのメッセージである。
「そりゃそうだ、"君の好み"と満たした上で"君を助ける"。断言してもそんな者は居ないよ」何某も目の前の幻想ちゃんではなく、この録画を見る人物へメッセージを述べている。
全ては、その"この映像を見て"憤慨してもらわねば困る。
だって、その人物は怒りでもって、彼が越えられないハードルを超えてもらわなければいけない。
・
・
・
2019年:某所にて。
何某は10年前の思い出、と言いながら実際には何某の主観では殆どは時間が立ってない。
だが、今のところは順調である。だがこれからは理解らない。
だからこそ、何某は時計の針を一気に進めることにした、それは異能生産の量産である。ピースはすべて揃っている。




