何某さんの補講授業(2019年)
こんにちは、何某さん。
こんにちは、新庄幸人君。今日はこのボクに一体何の用かな?
色々聞きたいのですが、一番肝心な事を聞き忘れていたので質問よろしいでしょうか?
はい、答えられることであれば聞いてくれ。
貴方は一体何者なんですか?メアリー・スー?
いやいや、別に自己投影はしていないし、れっきとした異能生産(Dehumanize)の登場人物だよ。自己紹介しようか?
はい、お願いします。
ボクの名前は佐爾波鏡子、そう名乗る前には『ドゥルジ・ナス』として、赤石学名義で過去に発表した作品の『タイムクライムカウンター』という作品に登場した悪魔だよ。
所属は歴史改変を主に行う、悪の組織、ダエーワの大幹部の一人。主に時間遡行や、平行世界移動を行って陰謀や、気紛れに人助けをしたり、好き勝手に振る舞う人物だよ。
ウェブ上では「やらない夫はブラック企業に入社します」というタイトルでまとめサイトに載ってると思うのでこちらを見てほしいね。設定自体はボク自体はなんも変わってないね。
邪悪な性格も、毛嫌いしているものも、この世の邪悪の全てを独占し、新規参入を許さない、って広報戦略部の方針も、直属の部下の三頭竜の首の数も。
勿論、アスキーアートスレッドでの連載と初登場だったので、版権キャラの名前は全員元の設定の名前に修正してあるけど、ね。Dr.Killもまだ部下だし、双次(やらない夫)も部下で健在だね。
歴史改変、時間遡行、未来予知ってのは可能なのですか?
勿論、どれも容易い。それを行うことに因る逆説や、諸問題については当該の作品内で既に説明しているので省くけど、異能生産(Dehumanize)でもこれは行われているね。
主にどんな歴史改変が行われてますか?聞けますか?
説明できるよ、主にはこの3つ。
1:異世界へ転移された新庄幸人君を、彼が異世界無双しだした辺りで原因を特定して、それを行った時空犯罪者を抹殺、消去。根絶してからその神に成りすました。その後彼を元の世界に戻して居るね。この時に彼は元の世界で死んでいる。
2:そこから10年前に飛び、真行院幹雄と四ノ原早紀、そこへ簑笠府イリスを加えて、色んな事を教えたよ。実際には未来を観測してその通りになったので彼ら彼女らはボクの言う通りに行動し始めた。でも、ここで簑笠府イリスが死んだんだ。
3:そこで幻想ちゃんを助けられる、ハノイの塔の怪物となった、新庄君を一日前の日に転移させたよ、これで幻想ちゃんは新庄君と二人共生存してデッドエンドまで生き延びることになったね。
結構無計画なんですね。痕跡が残りまくっているし、他の佐爾波鏡子さんの同レベルの同業者に見つかったりしませんか?
だろ?我ながら雑な仕事だなぁって思ってね。一旦死体にした新庄君はできれば"後で回収したかった"んだけどね。幻想ちゃんがいたく彼を気に入ってしまったね。ここはもう予想外だよ。
同業者に見つかったら、本当にどうしようかな?敵だと世界ごと消されるし、味方なら大笑いでボクが指差されたりするんだろうね。
ハノイの塔の怪物って何ですか?怪物の定義を教えてもらっていいですか?
怪物というのは「複数の頭を持つ」という人類世界で起きる謎の現象を指すね。歴史というのは或る時は「容易く歴史が変わったり」、「元凶の中心人物を排除しても歴史は再現されたり」、かと思えば「蒸発するかのように並行世界線上から雲散霧消」したりする。
これらの事象を、統計的に、勿論時間遡行や時間順行したりして観測されるものに限るんだけど、完全乱数の物を除いて残った、正体不明の事象が怪物と称されるんだよ。
歴史が水の三相に酷似している事から、これを水の怪物、多頭の物、これをハイドラと呼ぶ。これは神話に在る「最後の一頭を残して焼き潰された」というのを由来としている。
この場合、怪物は三種類、この異能生産(Dehumanize)では観測されている。
1:新庄幸人の何でも思った通りの超能力を与えられる物、異能生産(Dehumanize)、これは世界の破壊を前提にして成立しているね。
2:簑笠府イリスの自身の怪物化。名も無い稀有な、単頭の、個人で実現した怪物だったけど、これをボクが命名して方向性を与えた。
3:相対性ゾンビ効果に因る歴史の崩壊、停止、複製、雲散霧消。
この1をハノイの塔とボクが名付けて方向性を与えた怪物で、これは3つの塔に、複数枚の円盤を神様が乗せていった。この円盤全てを司祭達が移動させ終わったら世界が滅んで終りを迎える、と言う数学者の創作と言われている話に由来する。
この円盤にそれぞれ名前を付けたいが、ここでこれを言うのは無粋だろうね。
ここの3本の塔は、それぞれ破壊(もしくは破滅)の塔、ジグラット、始まりの塔、とそれぞれ名前を付けた。
相対性ゾンビとは何ですか?
人間って知性が発生するだろ?それは論理回路が集積化、複雑化、そして解明不可になる事まで高次化するから精神は発生するんだけど。
実のところ、これは人間、に限らず。生体に限らず、機械化、空間化、などの別の設計アプローチに因る知性体でも精神は発生するのが歴史改変者が観測している。
これを以て、『世界を構成する物理法則に知性の発生自然現象と組み込まれている』と判断した。その証明を持って次なる命題が発生した。
『では、集積化させる為の、知性回路の余剰スペースに当たる、見た目が知性体のもの全てに高強度の精神があるのか?』という問題だね。
ボクらはこれを無いとした。精神には強弱が在るとした。ではその強度の弱い精神の活動はどうなっているのか?知性活動と言えるのか?
これを解決するのが『相対的ゾンビ効果』という訳だね、彼らに精神という魂は無い。しかし、別の人物には間違いなく生者に見える。
次に命題と為ったのは『複数の頭の怪物を、この相対性ゾンビ効果で説明できないか?』ということだね。
つまり、怪物とは強度の弱いゾンビの群れが、まるで一頭の様に振る舞うこと、元々の姿、物理法則そのものになる、見えないのは当然であると。
そうだね、見えない、もしくは単体ならば一瞬の瞬きで、成立する幻想、のようなもの。だね。
この強度の変化をわかりやすく説明しよう。火中に栗が在るとしよう、そこには愚者と、賢者と、怠け者が居るとする。
まず賢者は水を掛けて火を消して栗を得ようとする。怠け者は賢者の取ってきた水を横取りしようとする、その間に愚者が大火傷を負いながら栗にありつけた。
これを以って愚者は勇者とか英雄と称される。これが通常の歴史の知性の在り方だ。愚者と賢者と怠け者による相克による結果が正常としようか?
ここで知性の高度化が起きるとどうなるか?
愚者は知性を得て、水を取りに行く、怠け者は力付くで片付く賢者ではなく暴力でなく愚者を煽り、賢者は水が飲料として貴重であるとするが英断して消火して栗を賢者が得た。
これが知性の高度化だ。歴史の発展と言える。
では知性の減退化だとどうなるか?
愚者は水を飲料水だと言って火を消さずに水を探す。怠け者は水を消火用と延命用に溜め込んで死蔵する。賢者は水の需要が高まり価値が上がったとして全てを売り捌く。
重要なのはこの水には「使うことで初めて意味を成す」という本質が抜け落ちているのと、栗という食料の価値が下がっている所だ。この場合は怠け者が栗よりも価値が高い水を全て獲得した。手に入れる筈の栗には誰も手を付けなかった。
歴史は水と言ったね?これを例えると、知性体の情熱が歴史の温度を上げたり下げたりして、知性の在り方を常に変えていくことがそうだと言える。
愚者と怠け者と賢者がそれぞれ勝利するのが歴史の在り方だ。
そこへ怪物が出現した場合はどうなるのか?歴史の崩壊、停止、複製、雲散霧消が起きる。
誰もが飢えながらも栗を得られないず餓死。誰もが水を飲みきれず溺れ死ぬ、これらを繰り返す、そして登場人物のロールそのものが消える。
実際には怪物には色々類型が在るんだけどここでは一旦火中の栗の話に留めておくよ。
それを比翼連理という1対の怪物にしたいのは何故ですか?
幻想ちゃんと新庄君のペアを推奨した事だね?勿論、それが奇数の頭の怪物だからさ。
いいかい?偶数の頭の怪物は、駄目だと本編で言ったね?本編以外では異片追放の中でも言及されたよね?偶数だと頭が知性活動で導き出した票が真っ二つに割れる。
これが奇数なら割れた票を、俯瞰して見れるとも。
零は偶数だよ。当たり前過ぎて言及しなかったけど、頭の無い怪物は「無い」ではなく、『ゼロ』なんだよ。これはこれ以上頭の数を減らせないことになる。これこそが偶頭の怪物の真の驚異だ。
そうなったら本当の終わりなんだね。幻想ちゃんだけが特例事項として単体の怪物化を実現させた。だがニ例目は現れないから、頭の数は原則増やせない、と考えて欲しいね。怪物退治ではここが寛容だ。
最後の頭は残さなきゃいけない。だからこそ最後に残す頭を選べと何度も言わせて貰ったんだ。んで?新庄君はどの頭を残すのかな?
という辺りで次の話で俺の決断を見せたいですね。今日は本当に有難うございました。ここまで説明して貰って良かったんですか?
構わないよ、時空犯罪者でなければ、歴史改変なんか出来ないし、そうした場合の挙動を解明したり、歴史中に判明したりしない。これは前作のタイムクライムカウンターを履修していない、世界で一人居れば良いくらいの重要度しか無い些末なことだよ。
という訳で、早くデッドエンドを越えて、ボクにプレミアムチケットをプレゼントしてくれ給えよ。そうじゃないとこの喫茶店の支払いが終わらないんだよね。
2020年前に、その後でしか払えないチケットを持ち込むからですよ、あ、これはワザとですか?
察しが悪いねえ。幻想ちゃんは大体理解ってたよ。
仕方ないじゃないですか、あなたとは延べ時間で1時間も過ごしていないんですから。ずっと後で理解るようにあからさまにやって漸く今理解したんですから。
悪いねえ、未来を示して君の行動からボクの意図を読まれても困るからね、敵は狡猾だよ、もう腹をくくれよ、新庄君。




