世界を滅ぼす女
四ノ原早紀は友人の烏竜原洋子に詰問を受けていた。
「早紀、貴女旧家のしきたりが嫌だって言っていませんでしたか?」
「言いましたが、それがなにか?」きょとんと何を聞くのか?という顔である。
「今度見合いをすると。しかもそれが結果が決まっているものだと」
「そうですね。彼と婚姻を結ぶことになるでしょうね、それがなにか?」
「……ッ!どうして、あんなに将来を憂いた貴女が……」洋子は涙混じりに呟いた。それを早紀が拭う。
「お気になさらず。憂いていたのは確かですし、家を潰したいのも変わりません。まあ、それには婚姻を解決してから、というのが最低条件なのです、ただそれだけ」そういうと洋子に微笑んでそのまま女子寮から荷物を持って実家へと戻っていった。
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「今回の見合い、貴女が望まないのであれば僕が口利きをして破棄しても良い、と僕は思っています」早紀の見合い相手である真行院幹雄はそう言った。またか、と早紀は思ったが皆が優しいのだと思い直した。
「……お心遣い痛み入ります、が勘違いなさっている様ですね。私はこの"旧家"というのを私の代で終わりにするために今回の見合いに臨んでいるのです」
「家を、潰す?」
「はい、私は初孫RTAをしたいと思っています、そして子供を12人ほど作っちゃいましょうかと。そのついでに世界も一緒に滅ぼしてしまおうか?なんて思っています」微笑をたたえながら早紀は言いきった。
「リアルタイムアタック」幹雄はそれだけを言えた。
「はい、リアルタイムアタック。初手、見合い成功。断るとロスが2年程度……私のチャートではここは成功して通したい、いかがでしょう?通りますか?」早紀は真面目な顔つきで胡乱な話を続けた。
「2年は取り戻せるのでは?」
「いえ、この2年が重要で、初孫まで到達するには、私の子供が2年遅れて生まれ、更にその子供も2年遅れで孫を生むことでしょう」
「他の女共が晩婚と言いながら慎重に賢しくいい物件を選んでいる内に、私は底値の将来性のある貴方を今すぐ買いたたき、その精神性を次世代の子供にも継がせます。
こうして他の家がどんどん生産力を下げていくので、私の子孫が世界を覆い尽くす、そうして古い世界は塗り替えることが可能です」
「ほおぅ」幹雄は感嘆した。突飛な発言と思ったが彼女の話には一貫性が在る。しかも感情論ではなくロジカルである。幹雄はそれに好感を感じたのである。
「いかがでしょう?世界を滅ぼしませんか?」
「最終的に古い世界は世界は滅びるでしょう、その過程で家は反映することに成りませんか?」幹雄は理解っていながら言った。其処が重要なのだ。
「私は子どもたちにそれぞれに財産を分与します。財産が12頭分されれば家は残れません」
「いいね、正にその通りになるね。とても面白そうだ」幹雄も実家の血筋ってやつには嫌気が差していたのである。
「しかし、僕は相当頑張らなければいけないな……」ちょっと赤くなりながら幹雄は言った。
「???。十月十日で1回在ればいいと思いますが」真面目な顔で早紀は言った。
「……命中率というのがあるんだ」幹雄は呆れたように言ったがこの時点でかなりこの世界を滅ぼす女に好意を感じていたのである。




