十二奥家と、その知性場(Lucifer dreams in Cocytus)001
十二奥家と、その知性場(Lucifer dreams in Cocytus)001
某県、森林地帯にて
「そろそろ、簑笠府のお嬢さんも我らの必要性に再評価を下してくれるだろうな」北の極点、その力を継承した不動天の当主の涙は淡々とつぶやく。
「不動天の涙ちゃんよ。そんなか細い可能性のために奴ら、いや宗家の立場ながら分家の党首らを見捨てたのか?」と伽藍堂の家の後継ぎの少年は宗家の跡継ぎの言葉を詰る。
「言うてくれるな、そんなの妾も理解っていても、どうしようもなかった。あの知性場が正体を現すまで、とそれが猛威を振るってこの世界大戦の二度目を起こす好機を此処まで醜く潰されるとは思えんかったのじゃ。それは愛ちゃんも一緒だと思うが?」
「俺も、それを疑わなかったと言うとそうではなかった。君がそう動くなら、各家の力を補助するのが、伽藍堂の家の役割だったので、力の源泉である不動天家を補佐するのだけはどんなに悪条件が重なっても免れない。最もあの無能(HeadLess)どもがアッサリと馬脚を現してくれたが」
「ふむ、そうだな。奴らがアホなのではなく、それだけ支配的な本能の顕れがゾンビたる所以。どうしようもなかった、これを同じく危機と見る同じ当主が居なければ滅びを受け入れるしかあるまい。ん?ちょっと待ってね、特殊電話に連絡が。この番号は簑笠府のものだな?」
「こんばんは、涙ちゃん。多分、色々散々言われているんだと思いますが同盟の誘いに乗ることにしました。どういたしましょうか?不動天の、宗家の当主、良い返事を期待してます」と簑笠府家の、表向きの当主であるイリスは自棄になりながら電話の向こうに居るようだ。
「悪かった、悪かった。でも、イリスちゃんの、手前の論文を議長らが大真面目に採用するとは思えんかったのじゃ、彼処で手遅れに成らない速度で判断するには、果断が過ぎると思われるのじゃが?」
「それは私も思いましたよ。学生時代には注目されてるとは思えなかったので、卒業してから家に戻ったらアレを突き出された私の心境にもご理解いただけたら、と思われますが?」
「アレだね、いい加減十二奥家の存続は難しいとして、私達のやり取りは何か空虚に思えてこない?」
「まあね、私も当主としてはもう形だけの形骸化した存在で、プレイヤーとしては新庄幸人さんに全てを譲った身でして」
「そういう事なら、お互いの異能がお互いに補佐する関係上、手を結ぶのが良いし、北の極点としても大胆な手が打ちたい。是非とも協力して欲しい」
「私も、異能生産(Dehumanize)、|異脳聖餐《zombification》を2つ揃えたまま、同士である、宗家の涙ちゃんと協力したいですね、良いですよね幸人さん~、ああはい、任されました。と言う訳で合流しませんか?逆探知不可能の直電電話を抱えて居るんですから場所は例の?」
「そうだねー、そういう事で途中までは伽藍堂の愛ちゃんが迎えに行くからね、今後とも宜しく~ガチャン、と言う訳で愛さん、お願いします」
「頼まれた、涙。良いのか?十二奥家は世界大戦を引き起こす、最大の要素ではなかったか?ゾンビとやらが幅を利かすならそれでも家は、頭無し共を駆逐する大きな武器になるのではないか?」
「そう言いたいけど、そんな段階はもう終わってると思う。DeadEndとBadEndの順序が逆転した時から、もう戦争を扇動にしてケスラーシンドロームを起こしながら、血決の塔を目指す道筋は無くなったと言えそうなんだよね、となると。
力には見切りをつけて、異能をどうにかしないとDreamEndに世界が到達してしまう。そうなったら本当にこの世界から希望を摘み取る事になってしまいかねない。
友人を失うのは避けたい、勝ってその後の祝杯を一人で迎えると、同じ杯を同士と呷れないのはそれはとても寂しい、んだからこれは愛、仕方ないよね?」
「そういう事なら最期まで歩むが、涙。御前は死ぬなよ。というかゾンビにもなるな。今の十二奥家の当主らの動きは見るに耐えない、悍ましい輩だ。寂しい世界を遺すんじゃねえぞ」
「理解ってますよ、愛」
「理解った、涙。簑笠府の二人を迎えに行ってくる」
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「お久しぶりです。涙さん」
「お久しぶり、イリスちゃん。早速十二奥家の勢力図を共有しましょう」
A県、T市の巨大な針葉樹の森、そこの中央にテントを張ってビバークしていた不動天涙、十二奥家の宗家にして2種類の異能を持っている強者である。
その側に控えていたのは十二奥家、序列二位の伽藍堂家の伽藍堂 愛である。




