偶然の一致を越えて
「未来予知は、異能として何処までが赦されますかね?何某さん」真行院幹雄は何某なる謎の人物と対面していた。
「なんで、ボクが権利者みたいな扱いにされているのかな?」そう言いながら何某はきちんと呼び出しに応じて遅刻もせずにやってきていた。
ここは放課後の部活棟の空き部屋の一つである。四ノ原早紀が用意した、いわば異能頒布作戦室である。
「私達の職務はいわばオカルト詐欺ではなく、アンチオカルト活動です。そう聞き及んでいます」早紀はこの会合の主催者として説明の続きを話し出す。
「なるほど、君たちはバーナム効果を越えたいと言うんだな」何某は要点を逃さずに捉えた。
「はい、それにはどうしてもあらかじめ知っている必要があります、全てというわけではありませんがせめて儀式の結果が客観的な視点でも当たっていると言う事実が欲しいのです」幹雄が頭を下げて言う。
「未来予知を過去にして見せたのはあなた唯一人しか居ません、俺らは生き残りたい」幹雄は頭を下げて言う。新庄、四ノ原もそれに倣って頭を下げる。
「……君達が予想している未来観測というのはどう見えると思っている?」何某は出された紅茶を飲みながら鋭い視線で以て言い逃れを許さず答えることを強いた。
「避けられない未来、運命というのはないでしょう、知っていれば回避できる」幹雄が淀みなく答えた。
「根拠は?」
「貴方の依頼そのものが、行動がそれを証明している」
「間違いだな、そう言う簡単なものではない」何某は間違いの答えを聞かされても柔和な笑みを絶やさない。
「水の三重点、と言うのは知っているかな?歴史も似たようなものだ」何某は善導を行う教師のように出来の悪い生徒を前にして訓育を始めた。
「液体個体気体が共存できる圧力と温度のポイントですね?」四ノ原は答えた、幹雄も頷く。が新庄は?となっていた。幹雄はお前作家志望だろうと頭を抱えた。
「今この場面は、それに近い。"10年前は"歴史は個体に近かった、だからこそこの10年の接触は無駄だったからしなかった。今現れたのは未来が誰か悪意のあるなしに仕組んだものの望んだ結果に成りうるからだよ。敵もそれを知っていたから新庄くんを狙っていた」
「つまり、今の未来予知は結果を避けられないものではない故に、それを知って回避すれば外れさせる、ということも可能だと?」
「どうかな、それが一体何で起こると思うかな?歴史の三相を起こすパラメーターは一体なんだろうか?」何某はニヤニヤと笑みを湛えながら聞いてきた。
「やっぱり熱量かな?情熱と言ってもいいかな?」意外にもここは新庄が答えた。
「根拠を聞こうか?」
「人の熱が冷めていくのを感じる一方、その醒めていくことで皆の行動が固まって行くようにも思える、ひょんな非日常な出来事で歴史が発散しそうな危うさも在る」
「んー、いいね正解だ。こういうのはやはり直感に限るな。良いだろう、未来予知は好きにしたまえよ。ただし」
「ただし?」
「未来予知単独の異能は創るな。『過去現在未来の秘密を解き明かす』。あくまで一オプションに過ぎない、それと明らかな明文化はアウトだ。歴史というのは当たる外れる、意味をなさないという重ね合わせだ。複数の意味を持たせるアウトプットでならそれがいいよ」
「良かったです、これをどうぞ、新庄くんが作ったウィジャボードの草案です」
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M 1872/12/26 03:46
ワタシ ハ 彼女 ガ イナイ スキ ニ サ イフ ヲ トリ マ シタ
ホフ ノオ メ モ サ ガセ アオイ ハンニン セ キライ カレ ン デス ツケ ヘ
トモダチ ヘ ホネ ココノ トチニ ハイ ウ メ マ ○X ナ ヤマ ヌ ユ
ム ネ ン コソ サヨウ ナ ロ 神様 ハ ヨ ノレ キク アサ ヒ ヱ 悪魔のワ ナ
員弁京子
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「へえ、これはいいな。深読みすればどうとでもなりそうだ、秘密を暴くついでに未来の指針を得るくらいは良いだろうさ」
「ありがとうございます」幹雄は再びを頭を下げて感謝した。
「気にすんなよ、これならそうだなこの旧校舎の学習机に彫り込ませてしまえばそれっぽくなるな」
「はい、我々もそれを想定しています」
「紅茶ありがとう。これでもう用は済んだかな?ではまた会おう、願わくば今回の事件の答え合わせであってほしいね」
「僕もそう思います」幹雄はそう言った。




