エピローグ
なんとか、こぎつけましたっ。
エマの魔法ペンの力が発動する。
間一髪、ヒルダの身体を究極バリアが守る。
「ぐぬぬぬぬ」
エマは歯を食いしばり、魔法ペンを書き続ける。
「むっ、新手か・・・そうか14妻のひとりエマ=ブライド・・・だが、女王が繰り出した究極の魔法、これを抑えることが出来るかな」
ゾリウスは、ほくそ笑む。
「エマっ!あなたたの力じゃ無理ですう」
ヒルダの叫びに、エマは側頭部に青筋をたてて言い返す。
「そんなの分かっている!」
「だったら・・・」
「諦めたら、駄目でしょ」
「・・・でもですう・・・エマあなたが・・・」
「信じなさいっ!」
「・・・はいですう」
ヒルダは残る魔法力を解放し、跳ね返った究極魔法にぶつける。
「ぐぬぬぬ」
「くっそ~ですう」
2人は究極魔法に抗う。
だが、2人の力を以てしても究極の力に押されはじめ、やがてヒルダは限界を迎え、エマが描いたバリアには亀裂が次々に亀裂が入っていく。
「くくく、ふふふ、まさに無意味!究極魔法に抗う術など無し。それは自分が一番知っているだろう女王ヒルダ、そしてエマよ」
大司教の顔が愉悦で歪む。
「諦めないっ!」と、エマ。
「ですう!」と、ヒルダ。
「くふくふ、いい加減にこの世界から退場しなさい」
光と闇で視界が遮られる。
究極魔法が2人をついに飲み込もうとした瞬間だった。
「待たせたな」
激しい炎が魔法を飲み、かき消した。
「・・・コォジィ様」
「コォジィですう!」
2人の前に立つ男は、かつての夫、康治であった。
「なんでここに」
「ですう」
「話は後だ。まず、こいつを・・・よくも俺の嫁たちをやってくれたな」
「なっ!貴様・・・貴様はっ・・・英雄コォ・・・」
瞬きも出来ない刹那。
康治は大司教の目の前に立っていた。
右手に炎を宿し、ゾリウスの左頬にストレートパンチを入れる。
「ぐはっ!」
大司教は彼方に吹き飛んで行った。
康治は飛んでいく魔者に右人差し指をさし叫んだ。
「また来てみろ。次は本気で殴るからなっ!」
「ば・・・バカ・・・な」
ゾリウスは己の野望が、その圧倒的な力の前に果てるのを悟った。
「コォジィ様!」
「コォジィっ!」
エマとヒルダは康治に飛びつき抱きしめる。
2人の瞳は潤んでいる・
康治は恥ずかしそうに視線を逸らし呟いた。
「いや、その気になってな・・・」
「へえ~」
「ですう」
「あのさ」
「また一緒に・・・」
言い淀む彼に2人は、
「はいっ!」
「ですうっ!」
笑顔で答えた。
おしまい
これにて、エマとヒルダのお話は一旦おしまい。
皆様、拙作を読んでいただき誠にありがとうございます。
次のヒロインたちは、なんちゃって悪役令嬢風を予定でございます。
まったね~。




