表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

№3 筆は進むよエマの百合小説

 特化。

 

「ったく」

 エマは燭台に火をつけ椅子に腰かける。

「全く、興覚めだわ」

 ちらりと視線に書状の束が目に入った。

「エリザ・・・」

 ディオラ国の元女王エリザベートから、自身と姉を描いた官能小説を書いて欲しいとせがまれている。

 この書状はその催促である。

 二度見をし、彼女はため息をついた。

「ふむ、こっちにするか」

 エマは立ちあがり、原稿の束を持って来るとお茶を淹れ直した。

 自らの執筆による陶酔から醒め、火照りきっていた身体は急激に冷めはじめている。

 一口、温かいお茶を口に入れる。

「さてと」

 エマは依頼されていた官能小説を書きはじめた。




「駄目っ!お姉様っ!」

 シャロットの目は、さながらハンティングをする獰猛な獣そのものであった。

「お前がっ、お前がいけないのだ!エリザっ、お前がアタシを目覚めさせたのだからな」

 じりっじりっとその距離を縮める姉に後退りする妹。

「アタクシはお姉様をずっと前からお慕いしていました・・・だけど・・・」

「ならば愛し合うのが当然だろう」

「でも・・・アタクシは」

「なにをカカマトぶっておるのだ。高尚なお嬢様気取りか?エリザお前はそんなものじゃないはずだ!姉をこんなイヤらしい身体にしたくせに」

「ああっ、お姉様っ、それは言わないで」

「アタシは今、お前が欲しいのだ」

「アタクシは、そんな目をした・・・」

「何がいけないのだ。これはお前を欲した・・・」

「いけません・・・いけません・・・あっ」

 エリザベートは姉の圧に押され、後ろの天蓋つきの寝台に足を取られベッドに倒れた。

「ふふふ、嫌も嫌も好きな内という訳か、自らベッドに入り込むとは・・・」

「これは違・・・っ」

 シャロットはエリザベートの懐へ飛び込み、唇を己の唇で塞ぎ黙らせた。

 それは熱くて優しい、とろけるようなメルティーキッス。

「お前はアタシのものだっ!絶対に離さないっ!」

「ああ、嬉しい、嬉しい、お姉様っ!」

 2人は抱きしめ合い、子どものようにじゃれた。

 それは幼い頃のような、だが2人は今や立派なレディなのだ。

 ベッドの中の酸いも甘いも知っている。

 そして、

「なあ?」

「はい」

 そして深い深い2人だけの世界へと。

・・・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・。



 エマは瞬きを一切せず、筆が進む進む、脳が命ずるまま、つらつらと書いていく。

 書庫に響くペンの音。

 紙に描く夜物語。

 次第にインクが薄くなっていく。

 本人はそれに気づかない、紙には描く物語はインクがすり減って文字が見えなくなっている。

「もう」

 彼女は思わず独り言をいい、インク壺にペンを投げ込む。

 ごとり。

「ああっ!」

 壺が倒れて、インクが原稿に零れてしまった。

 慌てて立ち上がり、台拭きで処理をする。

「ったく」

 エマは苛立ちを隠そうとはしなかった。



 なんちゃってえろ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ