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資金源

さて。これから本格的にテロ活ど……ゲフンゲフン。政治活動をするにあたって、まずは資金が必要になる。しかしながら資金に当てはないし、あったら私はまともに働いていない。


ただ、当てがないのは合法的な手段の場合だ。非合法な手段ならいくらでも方法がある。今日はその中で、一番手っ取り早い方法を行うことにした。明日から活動をする以上、今日稼ぐしかないしね。


まずはあの集会にいた人間の内、比較的古参で頼れる馬鹿であるマウロ兄ちゃんを使う。学が無くて逃げ足の速い人って使いやすいよね。しかも単純作業なら出来るから、例えば森に火をつける、なんてことも可能。


……この街の領主の館は、正面以外を木々で囲まれている。ここまで言えば聡明な方なら誰でもわかると思うけど、私が今からやろうとしているのは放火&窃盗だ。火事場泥棒って言葉もあるぐらいには、有名な手法だね。あそこで昔働いていた奴隷の少女が言うには、宝物庫が西側の最奥にあるようなので、マウロ兄ちゃんには東側の森に放火してもらう。


そしてどさくさに紛れて、私が潜入してめぼしいものを粗方持ち帰ることにした。僅か30分で、上手く行けば5億ゴールドは固い。今こそ私の親友を奪った領主に、天誅を下す時だ。


「お願い、マウロ兄ちゃん。この塊を5個投げ込んだ後、この球を投げ込んで」

「ええっと、そんなことで良いなら別に良いぜ。……この白い塊、何なんだ?」

「秘密だよ」

「こっちのは?」

「それも秘密。今日の夜に白い方と、火を付けた茶色い方を、あの木に目掛けて投げるだけのお仕事だよ」


特に私の言うことに反対することなく引き受けてしまうマウロ兄ちゃん。何か宣戦布告と思い込んで面倒だったけど、ちゃんと逃げてくれる模様。あほな子は好きだよ。扱いやすいから。私に良い恰好をしたくて、何でも願い事を聞き入れてくれるとか好都合でしかない。


ちなみに渡したのは、白い方がお世話になっているところで使っている脂と油を腸で包んだもの。茶色の方はただの燃えやすい藁でできたボールです。一応実験はしたけど、白い方は地面に着地すると油を撒くから、ちゃんと大火事になってくれるんじゃないかな?


こういう犯罪は、計画を立ててから実行までが長いとバレやすい。昼に立案、夜に実行レベルでスピーディーにやらないと、私が捕まっちゃう。


領主の館と言っても、外周を全て警護できているわけじゃない。無駄に広いお蔭で、入り放題好き放題出来そう。夜になってウキウキで館の森が燃えるのを期待していたら、無事に煙が見えたので大惨事になっている模様。やったね、マウロ兄ちゃん。下手したら捕まって殺されると思うけど、頑張って逃げてね。


火事になってから、私はスケスケの服を着て抱き枕を持って潜入する。領主の館には各地の村から美女が集っているらしく、人数が多いようなので誰も全員を把握できていないらしい。だからこうやってエロい恰好をした抱き枕を持った少女が徘徊していても、特に咎める人はいない。火事のおかげで正面の扉は開いていたし、順調順調。


……こういうことをするって、有名になっちゃったら使えない手ではあるけど初回だけなら超有効だ。何なら廊下ですれ違う人に笑顔で挨拶をしても問題ない。むしろ男の人はみんな鼻の下を伸ばす。無駄に発育した私の胸と身体は、この薄い服を着るとめっちゃエロい。ちなみにお世話になっているところのおばさんの服です。洗濯も私の仕事なので、一時的に借りました。どうせ何年も着てない服だし、別に私が使っても良いでしょ。


ある程度までは順調に行けたけど、宝物庫へ向かう途中、最後の廊下で警護をしている人に呼び止められる。裏手の森が燃えているのに不審者を見逃さない警備員の鑑。だけど私が女性だからか、めっちゃ油断してくれている。まあこの状況、十中八九領主の女だと思われてるし。


「こんなところで何をしている」

「ごめんなさい、この騒ぎでちょっと眠れなくて……ねえ、ちょっとこっちに来て下さる?」

「ん?……ガッ!?」


呼んだらこっちに来てくれる警護の人に、ゆっくりと右手を近づけ目を覆うような仕草をし、包丁を隠し持っていた左手で相手の喉を突き刺す。いや、ここは強行突破が1番早いし確実なんだすまない。他の警備員を呼ばれたら面倒なので、突き刺した後にしっかりと包丁を回す。


包丁を刺しただけでは人は動くし抵抗もされるけど、喉をえぐり取るように包丁を動かせば、相手は痛みと感覚のマヒでまともに行動も出来ないし、不意打ちだったからこりゃ意識が回ってないな。職業柄、包丁を使うのは慣れているんだ。死んだのを確認してから私は包丁を抜いて、抱き枕の中に詰めていたハンカチで血を拭き取る。また使うかもしれないから、血はついてない方が良いよね。


だけどその後は警備員に会うことなく、宝物庫に到着。まあ本来ならみんな寝静まっている時間だし、今は森の火事で館の正面からみんな逃げだしている頃だしね。何ならみんな野次馬に行ってると思うよ。宝物庫についたら、抱き枕の中に入っているピッキングツールを取り出してカチャカチャする。自作のピッキングツールでちゃちなものだけど、解錠だけなら何とかなるなる。


見た感じ、普通の南京錠のような鍵だったので1分もかからない。鍵の形を奴隷の少女から聞いてなかったらさらにあと1分はかかっていたと思うけど、その1分を省略出来たのは大きい。


さっそく中に入って、1番価値のある宝石の類を抱き枕の中へ入れていく。同時に中に入っていた綿やハンカチを取り出して、火を付けた。誰が作ったのかは知らないけど、魔法が当たり前のこの世界で魔力を使わずに火を付けられるライターを作ってくれた人は天才だと思うよ。マウロ兄ちゃんでも使える文明の利器万歳。


森での火事は、ちゃんと建築に詳しい人がこの館を立てたのか館へ火は移らない設計だけど、館の中で火事を起こせば流石に館全域に火は回る。後は、抜け出すだけだけでお仕事完了だ。そして館が火事になったことで、しばらくここの領主は私たちの行動を止めることも出来ないはず。まず、民主主義について耳に入ることすら遅れるだろうし。


民主化運動がスムーズに行えるようになるし、完璧な一手だったと言える。ただ一つ誤算だったのは宝石類や金貨を入れた抱き枕が重くて、私が疲労困憊になったことだけだ。

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