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傭兵団

ファルカナス王国でも、常備軍を持たない領主というのは珍しくない。王にそこそこ税を納めないといけないし、裕福な領主は少ないしね。そしてそういう領主は戦争の時にどうするのかと言うと、傭兵団を雇う。


既にファルカナス民主共和国軍がファルカナス王国軍を退けたことは話題になっているようで、傭兵団の団長さんが自らが私のところへ来て売り込むこともある。ただこいつら、前金だけでも結構高いんだよね。しかも戦勝した時に追加の報酬も強請るし。そうなると常備軍で良いじゃんという話になるけど、維持費がかからないのはメリットでもある。


とりあえず、100人規模の傭兵団3つと仮契約してこれでファルカナス民主共和国の軍隊は600人。……侵略戦争で1000人という軍を用意するのは大変だぁ。もういっそのこと前の防衛戦争の時みたいに強制徴兵しようかな。いやでも侵略戦争で強制徴兵って、確実に私の評価は下がる。


……ファルカナス王国軍との戦争から、3ヵ月。自称マスコミのスパイ達が情報収集をしているお蔭で貴族達の動向はある程度分かるけど、私の首を狙おうとする貴族は少ない。懸賞金50万ゴールドだけだと、わりに合わないのかな?暗殺者ぐらいは雇ってこちらに仕向けて来るかと思ったけど、案外無風だ。


「希望通りアンサルの町長に任命するけど、税は全部国庫に入るからね?着服したら、罪だからね?」

「理解しております。ライラ様」

「……貴族として下の方だったことは理解しているけど、元村娘に様付けとか絶対本心じゃないでしょ。そんなにナガーロのことが嫌いだった?」

「いえ。私は残りの余生を穏便に過ごしたいだけです。跡継ぎもいませんからね」


元男爵のモリスをアンサルの町長に任命するけど、今まで通りに税の着服なんて出来ないことは理解済み。というか今まで税の3割しか上納してなかったってマジ?何でナガーロから国王への税金が収入の5割なのに、モリスの税は収入の3割なの。そういう契約だったとしても何か解せない。


結婚相手はいるけど、子供はいないようだし何を考えているのかよく分からない。ただ自己の生存を目指しただけかもしれないし、この国を乗っ取りたいのかもしれない。まあこの世界で、学があって自身の立場が分かっている時点で使うしかないんだけど。地味に選挙で得票数2位だったし。


あ、まだ議会の枠は15席しかないので選挙は大選挙区制です。3位はジュリアさん。そしてただの馬鹿のマウロ兄ちゃんが得票数14位で議員になれるってこの国相当ヤバイ。元貴族達も1人代表者っぽい人間を議会に送り込んだし、そう上手く事は運ばないわな。


この文明度で人口密度がやけに高いのは、魔法のお蔭か他の転生者の影がちらつくからか。そんなことを考えていたら、バッコ公爵が軍を差し向けているとの情報が入る。規模は2500人。どうやら懸賞金の額が100万ゴールドに上がったのと、ファルカナス民主共和国を打ち滅ぼすよう王命が出たからだろうね。その王命に律儀に従う公爵がいるのは不運だった。


西方地域の結構大きな領土を持つ公爵様の軍だし、苦戦は必至。そう何度もこの規模の国で2000人の強制徴兵を出来るかという話になるし、傭兵団を頼るしかないか。冒険者達も集めて、300人の常備軍を合わせると1500人に届くかどうか。辛い。戦費を捻出するのが辛い。


「バッコ公爵って善良な公爵なの?西方地域は民主主義があまり浸透していないそうだけど」

「逆や。少しでも無礼な態度を見せたら領民を簡単に殺す貴族らしい貴族で選民思考やな。

あとはまあ、常備軍を常に巡回させて罪を逃さない厳格な人や」

「おお。そういう情報があるのは凄く助かる。

……通り道にある村は、無理に抵抗しないよう言っておいて」


ジュリアさんによると、バッコ公爵は貴族らしい貴族とのこと。ただまあ今回も到着までは1週間ほどはありそうだし、陥穽の準備ぐらいは出来そうだね。この国の軍隊の進軍速度が遅くて助かった。単にインフラが整ってないだけだけど。


あとはまあ、いつも通りに火計の準備と、追い剝ぎをするために傭兵団を多めに雇う。出来ればそのバッコ公爵には、戦死して貰いたいしね。跡継ぎはいるようだけど、まだ二桁になってないお子様らしいし、非常に都合が良い。


……公爵自らが軍を率いるって、よくあることなのかジュリアさんに聞いてみたら貴族は全員ある程度の教育を受けているから、人によっては軍を率いるとのこと。まあこの世界で教育水準が一番高いのは貴族だろうし、そういうこともあるのかな。戦国武将みたいなものか。


「今回は潜り込ませられたんか?」

「無理っぽい。たぶん全員処分されてるね。常備軍と公爵領の領民達で構成されているだろうし、そう簡単には潜り込めないよ」


事前に攻めて来ると分かっていたわけじゃないので、今回は向こうの軍に潜り込ませる余裕もなかったけど、まあ防衛戦争なら勝てるでしょ。後は裏切る傭兵団の数次第だけど、後から契約した傭兵団ほど前列に置いているから対策はしている。……戦費を捻出するのは辛いけど、戦争はもっと活発に起こって欲しいね。もっともっと、同じ国民同士で殺し合わないかな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] >この文明度で人口密度がやけに高いのは、魔法のお蔭か他の転生者の影がちらつくからか。 後者の要因が大きいなら、主人公にとってより厄介そうです…
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