ウィルフレッド王国
国の大きさとは、人口や領土で決まるものだけど、ウィルフレッド王国はその両方を備えている。いや、人口3000万人は大国の中だと少ないのかな?それでも肥沃な広い領土と、経済力や軍事力がファルカナス王国と比べても桁違いなのは間違いない。
ジーノ公国という宿敵がいるとはいえ、周囲はほぼ海。領土の拡張先はファルカナス王国か、ジーノ公国が無難な選択肢。一応南の海を超えた先にはまた別の大陸があるみたいだけど、距離はあるそうなので統治は難しいだろうね。
そんな彼らに民主主義を提唱する私の存在は邪魔だったみたいでウィルフレッド王国の使節団は「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ」と言わんばかりの主張。ついでに「ファルカナス民主共和国はウィルフレッド王国の属国となり、ジーノ公国へ宣戦布告をするべきだ」とか言い始めた。何しに来たんだこいつら。とりあえず全員捕まえよう。
「貴方達の中で、一番偉い人はだあれ?」
拘束してから私が無邪気に聞くと、使節団の中で明らかに一番偉そうな人が「私だ野蛮人め」と名乗りでたので投獄する。そして逆に一番偉くない人を聞くと、全員が新人っぽい人を示したのでその人を開放し、ウィルフレッド王国へと返す。残りは全員人質です。外交官共が大事なら金ぐらい寄越すだろ。
「相変わらず無茶苦茶やな。これじゃあうちらと外交しようという国なんて出て来ないで」
「ジーノ公国へのアピールにはなるし、民主制である以上は例外的なジーノ公国を除いて味方になる国なんて存在しないからこれで良いの。外交はもっと大国になってからだね」
「……ほんま、ええ加減にせんとプチっと潰されるで?」
「もう南方地域の半分がファルカナス民主共和国に属するようになったから、無問題だよ」
ファルカナス王国の南方地域は発展した街が少なく、村が多い。その村々へファルカナス王国から民主共和国への乗り換えを勧めると、戦争前と比べて遥かに反応が良かったし、民主主義の意図は浸透し始めたようで乗り気だった。みんな、新しいもの好きのミーハーだらけで助かったよ。
と言っても、完全に掌握出来ているわけじゃない。というか掌握出来ていない地域の方が多いぐらい。それが表立って出て来ないのは、新聞が民主主義の賛美を続けているから。私が支配していると書いてあるから。あとは「自分は反対だけど周囲が賛成なら……」って人が多かったのと、表立って反政府活動をして来そうな人は処分しておいたからかな。
……最初の選挙で立候補出来るぐらいに頭が回って行動力もある人は、上手い具合に戦争で先頭に立たせるよう手配。優秀な人間で私に従う意思のない奴はキルオールです。何でそんな危険な存在を野放しにしないといけないんだ。
さて。ここまでウィルフレッド王国へ強気な態度を見せられるのはそれなりの理由がある。まず純粋に、ウィルフレッド王国とファルカナス王国の国境が山岳地帯で、隘路の道幅がかなり狭いから数に任せた突撃が出来ないからだね。
だからこそ、今までも大きな戦争というのは起きてなかった。それに、大軍でファルカナス王国を攻めようとすると確実にジーノ公国がその隙を突く。何回かこのパターンでウィルフレッド王国は被害を受けているので、容易にこちらを攻めることが出来ない。なのに属国になれとか強気過ぎない?
結局向こうは身代金の要求を破棄して来たので、こちらは外交に来た使節団を全員投獄してウィルフレッド王国の国内についてを聞き出す。これでウィルフレッド王国が軍を派遣してくれれば面白かったのだけど、残念ながら軍は動かず。まあもうすぐ冬なのに山越えしようとする馬鹿はいないよね。
ジーノ公国からの支援金は、全て私の支援者へ分配します。利権を配って、地位を配って、どんどん私の地位を強固なものにしていく。国王への納税が無くなったとは言え、国庫は火の車状態です。頑張れジュリアさん。
……常備軍の規模は、僅かに300人。しかしこの常備軍を馬車馬のように働かせて、盗賊団の退治を繰り返したからか治安は向上。地味にお金を貯め込んでいる盗賊団もいたから、盗賊団をギリギリ倒せる常備軍という存在は中々にコスパが良い。なお被害は考えないものとする。
そうこうしているうちに、私に対してファルカナス王国が懸賞金をかけた。その額は50万ゴールド。しかも生死は問わないって、相当気合いが入っているというか、えげつないなこれ。ファルカナス王国の宮中も馬鹿ばかりじゃないということだし、これで反乱が起きたら不味い。
というか民衆が私の首を狙わなくても、50万ゴールドの懸賞金がかかると周囲のファルカナス王国内部にいる伯爵や男爵といった貴族共が襲いにかかって来るわ。……まあしばらく、戦争がない状態にはならないだろうし、今ある中で何とか支配領域を広げるしかないね。




