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冒険者ギルド

サクッと相手の軍の指揮官クラスを何人か殺したお蔭で、わが軍でもある程度は戦えるようになった。初日はほぼ互角に戦っていて、それでも個人の戦闘力の差で押されている感じ。夜襲があったと敵が勘違いして寝ておらず、同士討ちがあり、相手の冒険者集団が散々足を引っ張って、挟み撃ちの形になってこれだから、王国騎士団は強いね。


まあこちらの方が数は少ないし、指揮官の数も少ないから仕方ないのだけど。何なら死者数はこちらの方が多いと思う。国力が現在進行形でゴリゴリ削れているのは辛い。


さて。今日このタイミングで、ファルカナス共和国内にある冒険者ギルドはファルカナス共和国の所属にならないといけない。だって明日に出る新聞にそう書いちゃったもん。まあギルドマスターがガチガチの保守的思考だから、そこを小突けば何とかなりそう。


「こうして顔を合わせるのは2度目ですね。リナルドさん」

「……冒険者ギルドは、王国の事業だ。王国軍に対抗するために冒険者を集めることなど出来ない」

「いえ、別にあなた達が集めなくても良いんですよ。領主を追い出したのは、冒険者主体の軍でしたからね。上がどう思おうと、下は私についてきてくれるようですし、今日ここに来たのは新しく冒険者ギルドを設立して、この街にいる冒険者は全員がそちらの所属になることを伝えに来ただけです」


私の言葉に、絶句するリナルドさん。この人結構な年齢なのに腹芸出来ないの?自身の立場にも固執してそうなので、結局話し合いの末に、王国の冒険者ギルドはそのまま共和国の冒険者ギルドになることが決定され、半民営化されることになった。……今ここで冒険者の日銭を安くすると不満を持たれるから、完全に民営化するのはある程度の国力がついてからだね。


そして共和国の冒険者ギルドが誕生したことで、戦争2日目には民主主義の影響を受けた王国軍の冒険者集団は離反者が続出。「お金より正義」をスローガンとして、王国騎士団を完全に挟み撃ちする形になった。なお中からスローガンを掲げて暴れ始めたのは私が潜入させた冒険者達です。何人離反するのか見物だったけど、1000人以上は離反してるね。こりゃ王国軍は大変だ。


内部から大量の離反者が出たことで、王国軍の本隊の兵站も燃やされてしまった。これで本格的に王国軍は苦境に立たされる。このまま撤退すれば背を討たれながら飢え死にする者が多数出るので彼らも必死だけど、こちらも負ければ家族が全員が奴隷になるんだから必死だ。


明日には、撤退せざるを得ない状況まで王国軍は追い込まれるだろう。そんな状況で、とある国から使者が来た。南にある大国ウィルフレッド王国の、中にあるジーノ公国からの使者だ。




ライラがトップになった時、他国の助力を貰えないかと考え、その候補先として選ばれたのが南に国境を接するウィルフレッド王国の、中央やや北にあるジーノ公国だった。このジーノ公国は領土の大半が山岳地帯であり、強固な要塞をいくつも備えている軍事国家である。


その上、領内には多数の金山銀山があり、金を持っている国でもあった。しかしジーノ公国は元々ウィルフレッド王国から独立した国であり、周囲の国境全てがウィルフレッド王国に囲まれている国のため、味方が居ない国でもあった。


何度もウィルフレッド王国とジーノ公国は戦争をしており、ウィルフレッド王国は死体の山を築いている。大国ウィルフレッド王国の人口は3000万人程度なのに対し、ジーノ公国は約350万人。しかしそれでも、ジーノ公国が潰されることは無かった。それだけ守りやすい地形と、金山や銀山を保有しているというのは大きかった。大金を使って築き上げた要塞群は、そう簡単には陥落しなかった。


……お金があるとは言っても、ジーノ公国がわざわざファルカナス民主共和国を支援する理由はない。しかしファルカナス民主共和国はウィルフレッド王国の脅威に晒されており、内戦でファルカナス民主共和国とファルカナス王国が共倒れした場合、ウィルフレッド王国が食い尽くして膨張する恐れがある。


今はまだ耐えれる戦力比で余裕もあるが、ファルカナス全土がウィルフレッド王国の支配下に置かれればさらに戦力の差がかけ離れることになり、領土拡張をする余裕がないジーノ公国は一方的に不利に立たされることになる。そのため、ジーノ公国はファルカナス民主共和国の支援を決定した。


そのジーノ公国の使節団が来たのは、ちょうど王国軍と共和国軍の激突が3日目に入り、共和国軍が優位に立っているタイミングだった。王国騎士団を相手に停戦協定を結ぶライラの姿を見て、ジーノ公国の使節団はライラへの警戒度を上げた。民兵主体の軍で、ジーノ公国にまで精強だと伝えられるファルカナス王国の騎士団を退けていたからだ。


そして使節団は、正式にファルカナス民主共和国を支援すると約束した。350万人と人口だけ見れば小国に分類されるジーノ公国は、経済的には大国相当であり、その支援の額にライラは大喜びであった。しかし今後はウィルフレッド王国ともことを構える義務が発生し、その対応に苦難することとなる。


ウィルフレッド王国は人口3000万人、領土もファルカナス王国の2.5倍はあり、まごうことなき大国だ。ジーノ公国からの支援を受け取ってしまったら、ウィルフレッド王国に大義名分を渡すようなものじゃないかという声に、ライラはこう答える。


「もうウィルフレッド王国にも民主主義は出荷しているから、目を付けられるのは確定だよ。だから、貰えるものは貰っておかないとね」


王国軍が撤退してから数日後、ライラの元に今度はウィルフレッド王国から使者が来たが、ライラはウィルフレッド王国の要求を断り、両国の間は険悪な状態になった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第10話到達、おめでとうございます! ……民主主義の利点も欠点もとことん悪用する主人公。w いいぞもっとやれ。www [気になる点] >ジーノ公国 モデルはスイス? [一言] 続きも楽…
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