誓いという名のプロローグ
※更新不定期、遅筆、地雷設定、一人称視点三人称視点混在小説。
※四肢切断レベルの残酷な描写があります。主人公がかなりのサイコパスです。人を笑顔で殺せる少女(元男)です。
※賢そうな人間がいっぱい出てきますが、作者より頭の良い人間は出てきません。作者の頭の良さについては期待しないでください。
この物語は、未来において歴史の教科書に必ず載るほどの偉大な政治家であり「民のための母」と呼ばれた女の物語である。
その少女は、生まれてから不幸続きだった。
3歳の頃、前世の記憶が流れ込んだせいで熱で苦しみ続けた彼女は、意識が混濁して何度も吐いた。そのうち人格は統合され、自身が男とも女とも思えないようになった。
8歳の頃、同い年の幼馴染で仲の良かった美しい少女は、辺り一帯を支配する領主に嫁ぎ、1ヵ月後には物言わぬ姿で帰って来た。幼馴染だったものの右足はなく、腹が割かれて顔は変形していた。深く彼女は傷付いたが、周囲の人間はよくあることだと流した。
そして10歳の誕生日には村を盗賊団が襲い、家具の中に隠れた彼女は目の前で母親が凌辱され殺される姿を見ることになる。父親は既に殺されており、今世の母親が死ぬまで凌辱され続けるのを見ていた彼女は、犯し終わって一息ついている男の頸動脈を小さなナイフで切り裂いた。
彼女にとって幸運だったことは、既にこの場には熟女好きである盗賊団の一団員しかいなかったこと。このファルカナス王国や周辺国の彼女を除く全人類にとって不幸だったことは、ここで彼女、ライラが死ななかったこと。
盗賊の血が滴るナイフを持つライラは、ウェヒヒヒと笑いながら呟く。
「そうだよ。この世界は間違っているんだ。盗賊や犯罪者が蔓延っていて、領主は民を守らない。どんなに頑張っても重税に苦しむ民に、その日の気分で民を殺せる貴族。そんな世界、間違っているし、みんな騙されているんだ。
はやくみんな、民主主義になって幸せになろうよ。多数派が正しくなる、そんな世界にしようよ」
その日の夜。盗賊団が占拠した村から1人の少女が抜け出したが、気付く者は誰一人としていなかった。
私の名前はライラ。年齢は今年で15歳で、得意なことは笑顔で接客すること。苦手なことは戦うこと。現代日本でただのサラリーマンだったおっさんがある日気付けば異世界で美少女というか、美幼女だったからテンションは上がったね。幼馴染の綺麗な子が8歳で嫁いで翌月に死体になった時には美少女になったことを恨んだけど。
この世界には魔法とかもあるようだけど、一般ピーポウな私には魔法なんて使えんのです。村は10歳の時に盗賊団に襲われて壊滅したので、今は街に出てお店の看板娘してます。3食宿付き無給という条件で。
いやー、前世で務めていた企業の役員様社長様。ブラックだブラックだと内心毒づいてごめんね。月50時間の残業で手取り17万は少ないと思っていたけど、無給に比べれば全然多いわ。ボーナスも年1回10万ぐらい出てたし、全然ブラックじゃなかったわ。
さて。5年前に私はこの世界で民主主義を流行らせようと決意して、この街で布教活動をしていたんだけど、中々に根付かない。共感してくれる人はいるけど、あまり表だって行動は出来ないし、現権力者である貴族や王様にとっては面白くない話だから下手したら投獄されちゃう。
だから、草の根のように民主主義の思想を少しずつ伝えていくしかないんだよね。最近の定期集会では100人ぐらい来るようになったけど、まだこのアンサルの街の人口の1%しかいない。5年も頑張った結果が100人の同志というのはちょっと少ないし、何ならこの中の半数ぐらいは私目当ての人間だけど……一先ず目標の数は集まった。これ以上の人が集まると、流石にバレる。
「来月から、表立って街頭演説をするよ。幸いこの街は重税で苦しんでいる人が多いし、賛同してくれる人はいっぱいいるはず」
「……本当に、上手く行くのか?俺達全員、捕まって終わらないか?」
「その時は、みんなで捕まえに来る人達を捕まえちゃえばいいんだよ。この街の警邏、腐敗と中抜きのせいで下っ端がこっち側に付くと思うし、頼りにしてるよ。マウロ兄ちゃん」
「お、おう」
この街は、領主に稼いだお金の半分ぐらいを奪われてしまう。その上で関所とか専売とか、悪いことをいっぱいしている。だから民主主義を広めて、私が領主になって、税を少なくすることを約束するんだ。塩や香辛料の専売とかも止めちゃえ。
「はっは、面白い嬢ちゃんだな。民主主義か。実にいいな」
「えっと、おじさん誰?今までの集会には、居なかったよね」
「おっと。これは失礼。ランベルト商会のランベルトだ」
「……ランベルト商会?」
「俺が立ち上げた商会さ。ベルベルト商会の名前は聞いたことあるだろ?俺はそこの主の三男坊ってわけ」
来月からいよいよ本格的な行動を開始しようとしたところで、商人が集会に来ていた。誰か商人を誘って来てよとは言ってたけど、凄く小さな商会から無謀な独立をした人じゃん。使えない。せめて私が確保した商人レベルで有能なの連れて来てよ。
「一応、武器は取り扱っている。以後お見知りおきをって奴だな」
……でも商人が参加したのは大きい。将来私がこの商人を優遇する代わりに、今私を持ち上げてと協力を申し出ることは出来る。民主主義の思想が広まれば、こういう取引が至るところで行なわれることになる。
私はこの世界を正しくしたい。そのために民主化は必須だし、民主主義の思想を広めるために民主主義の悪用を躊躇している暇はない。私がどれだけ悪事を働いても、この文明レベルが低い異世界では私を裁くことも難しいはず。私は民主主義の狂信者だ。都合の良い世界だけを民衆に説き、絶対にこの最底辺から成り上がってやる。