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朝を歩け。  作者: 維酉
3rd Single【夏への扉】
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87 勉強会③

「ねねちゃん、ねねちゃん」と、かうな、肩を叩く。「ここ、わかる?」


 勉強会は続き、午後三時ちかく。一年生は巨大なテレビのまえに陣取って、ひとりで集中したり、たまに教えあったりで、よいペース。


「えーっとね」


 ねね、わからないという部分に目を通す。英語の文法問題だ。ちょうど昨晩、復習したところだったので、うまいこと教えられる。


「ふんふん」かうな、肯き、「うーん、覚えられる気がしない!」

「あれ」うまいこといってなかった。「ご、ごめんね、わたし教えるのがにがてで……」

「え、ううん。この問題はばっちりだよ、ねねちゃんのおかげで!」

「文法、覚えることおおくて、あたまがパンクしてるんだよね」

「そうそう、シーちゃん、大正解」

「あぁ、そっか……」ねね、共感して、「でも、あと数日あるし、だいじょうぶだよ」


 シーも肯いてくれる。文法問題は、長文読解より勉強の成果がでやすいし、数日もあればきっと対策できる。


「やっぱり英語って、丸暗記したほうがはやいのかなぁ」かうな、問題集をめくりつつ、「ほら、英作文は英借文、とかいうし。暗記、だいきらいだけど……」

「できるなら、そのほうがいいかもね」と、シー。「範囲を絞れば、いまからでも覚えられるだろうし、いったんピックアップしてみる?」


 ちょうど過去問もあるし。シーのことばに、こんどはねねが肯く。二年生からもらった去年の期末試験が、いま、まるまる手元にある。


 ということで、でそうな問題をひととおりまとめてみる。するとノート見開き一ページくらいになった。これなら、かうなも覚えられそう。


「よしよし。文法問題はこれでばっちり……」かうな、呟き、「長文読解は、気合いで!」

「う、うん、気合いだよ、気合い!」

「気合いだね」


 期末対策は、どんどんすすむ。


 と、午後三時になったころ、ダイニングテーブルの二年生たちが席を立ちはじめた。むこうは休憩にはいったらしい。


 一年生も、それにならう。


「みんな、おつかれさま~」と、ゆか、やってきて、「お菓子いる~?」

「わっ、ありがとうございます!」


 かうな、受けとったのは、カゴいっぱいのお菓子の詰め合わせ。一年生用にまとめてくれたらしい。


「飲み物はどう?」と、奥からみきの声も。「アイスコーヒーと、紅茶と、りんごジュースがあるけど」

「あ、手伝います……!」


 ねねたち、コップを並べる二年生に加わって、飲み物をついでいく。先輩たちの飲み物を用意すると、そのたび、なぜか一年生ぶんのお菓子がふえていく。お駄賃らしい。


「みき先輩は、アイスコーヒーでしたっけ」

「うん、ありがとう、ねねちゃん」


 チョコレートをもらう。うれしい。


 で、一年生も飲み物をもちかえって、おやつ休憩。ねね、アイスコーヒーを味わいながら、チョコレートを一口。


「それって、ブラックなの?」と、かうな。

「えっと……うん。無糖だったはず」

「おとなだぁ」

「牛ちゃんが子ども舌なんだよ」

「うっ、否定できないけど……シーちゃんだって、ブラックじゃ飲めないでしょ!」

「シロップいれたら、飲めるから」

「ふふ、りんごジュースも、おいしいよね」

「うんうん。りんごジュースには、りんごジュースにしかない味わいがあるからね!」


 かうな、得意げにいって、チョコパイを手にとる。それもおいしいよね。うん、クセになる! たべすぎちゃだめだよ、牛ちゃん。そのぶん勉強でカロリー使うから、いいの!


 ねね、やりとりに微笑む。うん、充電できた気がする。もうちょっとがんばれそう。



【前田あおば 軽音楽部顧問】


 みきたち、軽音楽部の顧問。

 平川高校で現代文を担当。


 最近のマイブームは入浴剤。仕事の疲れを癒すために使ってみたら、おもいのほかよくてハマった。友人・大元みい子には似合わないといわれている。

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