83 優勝
「へぇ、くづきちゃんって」と、のの、興味津々で、「大阪出身なの?」
「はい。府民です、元」
くづき、はきはきした調子で肯く。教室にひとつ増えた机を囲み、みき、のの、くづきでお昼ごはんをたべている。
「中学生のころまで大阪にいたんです。気をぬくと、まだ関西弁がでちゃって」
「えぇー、聞いてみたい。みきちゃん、ちょっとくすぐってやりなさい」
「ひゅわっ」
関西弁ではなかったが、かわいい悲鳴がでた。わき腹がよわいらしい。
「……」くづき、赤面して、「す、すみません……」
「いや、わたしこそごめん……」みき、申し訳なさそうに、「でも、ののちゃんにいわれたら従うしかなくて」
「うん。人質にぎってるからね」
「えっ、そうなんですか⁉」
「ちょっと奥さんと子どもをね……」
「妻子がいるんですか、みきさん⁉」
「いやいや」
おもしろい子だな、と、みき、苦笑する。どこまで本気なのかわからないが、表情を見るかぎり、へたな嘘を信じこんでいそうな気配がある。
「天然だね、くづきちゃん」と、のの。
「はぁ」よくわかっていなさそうなかおで、「ちなみに、お子さんはおいくつなんですか?」
「ののちゃんのせいだよ、これ」
「ごめんごめん」
のの、嘘だとバラすと、びっくりしたような表情をされてしまう。おもいのほか、天然というか、ひとを信じやすいたちなのかもしれない……心配になるほどに。
「よし、悪趣味な嘘はもうやめよう」と、のの、ひとり肯き、「ここからは、くづきちゃんクイズのお時間です」
「わたしのクイズですか?」
「第一問、くづきちゃんのすきなたべものは?」
「チョコミント味のアイスクリーム」と、みき、すかさず答える。
「ふむふむ、正解は?」
「た、たまご焼きです!」
「ざんねん、みきちゃんマイナス1ポイント!」
「誤答バツあったんだ」
「す、すみません。チョコミントはどうも苦手で……」
「すききらいわかれるよね、やっぱり」
「では……第二問」
のの、ウインナーを口に放りこんで、ちょっと間があく。なにを訊きたいか考えているらしい。
「第二問です」おもいついたみたいで、「ずばり、くづきちゃんにはお兄ちゃんがいる、マルかバツか」
「バツ」
「正解は?」
「バツです」
「おー、みきちゃんプラス3ポイント!」
「けっこうもらえる」
これで、みき、所持ポイントは2になった。だからといって、どうということもなさそうだけど。
「ちなみに、いもうとちゃんはいるよね」
「はい、小学生のいもうとがいます」
「そうなんだ。追加情報もバッチリだね。プラス3ポイント!」
「ルールがゆるい」
では、第三問――と、のの、あらたまっていうが、やはり問題を考えるのに数秒の間がある。
「んん、いきます、第三問。くづきちゃんが留学していたのはイギリスのどこ?」
「あれ、どこだったっけ。朝の自己紹介でいってたよね」
「はい。いいました」
「みきちゃん、意外とこまかいところ覚えるの苦手だからなあ」
「う」痛いところを突かれる。「いや、覚えてるよ。えーっと……」
「さぁ、どうだ――⁉」
「みきさん、がんばって――!」
「イギリスの……」記憶をたぐりよせて、「そうだ、ヨーク」
「おぉ、正解です!」
くづき、諸手をあげてじぶんのことのようによろこんでくれる。そこまでうれしそうにされると、みき、なんとか当てられてよかったという気になる。
「くづきちゃんが大よろこびなので、プラス5ポイント!」
「やっぱりゆるいな、ルール」
「ということで、優勝はみきちゃんです」
「おめでとうございます!」
優勝もなにも、とおもわなくもなかったが、みき、ありがたく祝われることにした。
【笹田うめ 高校二年生】
ひかえめな性格の高校二年生。
卓球部所属。
最近のマイブームは落ちものパズルで、ねねに誘われてはじめた。パズルゲームがもともとすきで、しっかりハマってしまったが、自制もしっかりできている、つもり。




