表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝を歩け。  作者: 維酉
3rd Single【夏への扉】
86/176

81 豪邸

「数学むりだよ~!」


 と、ゆか、部室のつくえに突っ伏して泣きごとをいう。みき、あきれて、


「いや、がんばってくれよ」と。「いまのところ、おまえがいちばん怪しいんだよ」

「補充確定だよぉ……!」

「まぁ教えてやるから。不吉なこといわずに、がんばれって」


 期末試験を控えた部活動最終日は、もはや勉強会にかわりつつあった。コンクールの練習のためにも、赤点をまぬかれて、補充授業に召集されないように、そのぶんちゃんと勉強しなければならない。


 いちおう、一年生の面々は、中間試験でもそれなりの点をとっていたらしい。すくなくとも、赤点はひとりもいない。


 となるとやはり、心配なのはゆかである。


「生物もむりだよぉ!」

「生物は……わたし取ってねぇからな」

「しお~」

「あたし文系だしなー。数学は教えられるけど」

「わっ、しお先輩、数学得意なんですかっ?」


 かうな、くいついた。点数はそこまでひどくないが、どうやら数学に苦手意識があるらしい。


「数学が得意っていうかなー。あたし勉強すればなんでもできるし」

「え……⁉」かうな、ショックを受けたように、「しお先輩って、もしかしてめちゃくちゃ天才なんですか?」

「なんでおどろいてんだよー」

「おどろくだろ、そりゃ」


 ただ、みき、しおの「なんでもできる」発言を否定できないので、それ以上はふれず、


「つっても、ゆか、まずいのは数学と生物くらいだろ?」

「え、そんなことないよぉ」ゆか、心外そうに、「ほかもめちゃくちゃ成績わるいからね~!」

「どうして自慢げなんだ」

「英語くらいしかできないねぇ」

「おー、これは……」しお、首をかしげて、「勉強会だなー」

「そうだな。週末うち来るか?」

「いく~……」

「うめちゃんも呼ぶか。生物の先生に」

「そだなー」


 と、その会話をよこで聞きつつ、一年生も、


「勉強会かぁ」と、かうな。「わたしたちもやるっ? なんか高校生っぽいし!」

「いいよ。うちに来る?」

「シーちゃんのおうち?」ねね、興味ぶかそうに。

「うん。ハブ酒あるよ」

「え……そっか、すごいね……?」

「すごいけど高校生っぽくない!」


 かうな、あきらめて、


「みき先輩~!」と、たすけを求める。

「お、かうなちゃんもわたしの家、来る?」みき、やさしく、「ハブ酒はないけど」

「いりませんよっ!」

「いらないの、牛ちゃん?」

「う、うちはうれしいよ……あったら……!」

「うんうん、ねねちゃんはいい子だね」

「そんな気を利かせなくていいのっ!」


 とはいえ、みき、六人も呼ぶとなると、ちょっと家が狭くなりそうである。しお、ゆか、うめくらいなら、まえも勉強会したことがあるし、問題ないが、一年生が三人増えたら、それはそれでスペースがとれない。


「じゃ、ゆかの家でよくねー」と、しお。

「わたしの家? いいよ~、ついでに楽器も弾けるしねぇ」

「勉強会だからな、勉強会」

「ゆか先輩のお家って、どんなところなんですかっ?」

「豪邸」と、しお、端的に。

「わたしの家よりですか?」と、シー。

「シーちゃん、豪邸ずまいなの……?」ねね、訊ねてみる。

「いや、ふつうのマンション」

「えっと……?」

「お菓子いっぱい用意しとくねぇ」


 ゆか、もはや能天気だった。先がおもいやられるようで、みき、額に手をあてる。



陈诗涵チェンシーハン 高校一年生】


 一見クールな高校一年生。

 正体は不思議ちゃん。


 最近のマイブームは地図を眺めること。地図アプリで知らない町を延々と眺めるだけで、数時間溶けることも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ