40 教えたげるよ
「晴れてよかったねぇ」と、ゆか、おにぎりをほおばりながら、いう。
「もう食べてんのか」と、みき。
「いる~?」
「ううん。だいじょうぶ」
もうゴールデンウィークに入り、軽音楽部、ピクニックの日である。ゆか、かなりテンションが高めで、食欲もいつにもましてありそうである。
公園は、意外とにぎわいをみせていて、だいたい小さなこどもがいる家族で、ぽつぽつピクニックしているのも見受けられる。だいぶ広い公園なので、人気なのだろう、と、みき、推量する。
しおが、
「けっこうふつうにピクニックすんだな」と、いう。
「シートここらへんでいいですか?」かうな、楽しげである。
「いいよ」
「えーい!」
バッとレジャーシート広げて、敷いてしまう。部員六名、おのおの靴を脱いで、座る。
「この公園、ボートとかもあるらしいですよ」
「あとで乗ってみる?」
「はいっ!」
エネルギッシュな子だな、と、みき、つくづく思う。
ひとまず、ピクニックらしく弁当を広げてみた。みきの手作りが二箱、シーが持ってきたのが一箱である。どうやらシーも料理できるらしく、手作りのようだ。
「朝から大変でした」
「ほんとそれ」
「中身、かわいいですね」
かうな、みきの弁当箱を見ながら、いう。けっこう凝っていて、色もカラフルにしたし、盛り付けも女の子っぽくがんばった。
「まあ、ほら。女子高生だし、ちょっとは見栄張りたい」
「めずらしい」しお、あぐらをかいて座る。
「うっせ」
「わたしの、見劣りしますね」紙皿配りながら、シーがいう。「はい、ねねちゃん、お皿。ねねちゃん?」
「……」ぼーっとしていて、「あ、ごめん。なに……?」
「お皿。どうかした?」
「ううん、あの、みき先輩って何者なんだろうって……」
「ふつうの女子高生だよ……」
「飲み物、お茶とオレンジジュースがありますよ!」
「お茶のひとー」しおの声に、全員、手を挙げる。
「お茶ですね!」
「献身的だなー」
「お前もちょっとは見習えば……ゆか、おにぎりは食べたの」
「はい~」
「『いただきます』でいきますか? 乾杯でいきますか?」
「乾杯かな」
「じゃあ、みなさん、飲み物もってください!」
かうな、なんだか幹事みたいである。で、全員そろって、
「乾杯!」
さて、ゆか、さっそく食指を動かす。みきの料理を食べて、おいしいといい、シーの料理を食べて、おいしいという。
「あ、食べれます?」と、シーが訊く。「まずくないですか?」
「え? おいしいよぉ」
「うん、おいしいよ、シーちゃん!」ねね、いう。「すごくおいしい!」
「ねねちゃんって、食べ出したら、とたんに元気になるよね」
「うっ……食いしん坊ってわけでは……」
「そんなこといってないよ」シー、いたずらげに笑う。「いっぱい食べてね」
「わたしもお料理勉強しようかなぁ」と、食べながらかうな。「先生役がふたりもいるし」
「料理くらいならいつでも教えたげるよ」みき、いう。
「ほんとですか? じゃあ、今度おうちにお邪魔しようかなぁ」
「こいつ、ナチュラルにみきの家上がりこもうとしてる……」
「やり手だねぇ」
「お前らも料理覚えたらどうだ?」
「みきがいるからだいじょうぶだろー」
「いやいや」
料理が平らげられるのに、あまり時間はかからなかった。
【陈诗涵 キーボード担当】
クールな雰囲気の一年生。
しかし中身は不思議ちゃん。
人にあだ名をつけるのが好きで、昔からかうなを「牛ちゃん」と呼んでいる。いまはねねのあだ名を考えているらしい。




