表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝を歩け。  作者: 維酉
2nd Single【恋と渦巻き】
38/176

33 観光

 新入部員が入って、三日、金曜日の放課後。なんだかちょっとずつ、新メンバーのせいかくもわかってきて、雑談も、気楽なかんじになりつつある。


 演奏については、かうな、ギターの経験者というだけあって、上手だった。みきが見る限り、あまり問題はなさそうである。


 で、シーのほうはといえば、まいにち、キーボードの練習である。ゆか、つきっきりで、マンツーマンでずっと教えている。


 大変そうだけれど、シーがやりたいといったので、まあ、いいのだろう。みき、個人的には、ゆかがキーボードになってもいいと思うのだが、ふたりがいいなら、このままでもかまわない。


 なににせよ、いまは、六月下旬の文化祭に向けて、やってみるしかない。シーの上達速度も、けっこう早いので、きっとだいじょうぶだ。


 五時半くらい、いったん休憩にして、みき、楽器をおく。

 すると、かうなが、


「先輩!」と、飛んできた。「今日の朝ごはんはなんでした?」

「え?」


 へんなことを訊くものである。というか、知ってどうするのか。

 とりあえず、


「トースト」と、答えておく。「どうしたの、急に?」

「いえ、ちょっとした調査です」

「ふうん」

「しお先輩は、なにたべました?」

「んー。なんだっけ、みき」

「知らねーよ」

「わたしはねぇ、目玉焼きと、小松菜のソテーと……」

「あ、思い出した、米とみそ汁とたまごやきだ。いつもといっしょだ」

「どうしてそれ忘れたんだよ」

「和食派なんですね。ゆか先輩は洋食……」

「どうしたの、牛ちゃん」

「シーちゃんはパンだったよね」

「そうだけど。菓子パン」

「それ、調べてどうするの?」

「意味はとくにありませんっ」


 笑顔で断言された。みき、


「そっか」としか、答えられない。「ちなみに、かうなちゃんは?」

「わたし、今日たべてないです」

「あ、そう」


 なんだそりゃ。


「だめだよ、牛ちゃん。ちゃんとたべないと」と、シー。

「時間が……」

「だめ」

「あう。明日はたべてきます」

「休みじゃん」

「そうだったっ」

「あ、そっか。週末かー」

「そういや、ゴールデンウィークも近いんじゃねーの」

「再来週ですね」

「なにすっかなー」

「おまえ、どうせひまだろ」

「おーよ」

「じゃあ、島いきましょうよっ!」

「島? どこの?」

「九州ー?」

「島だけど。それだと本州とかもそうだし」

「離島ですよっ。猫がいっぱいいる島とか」

「あ、いいねぇ、それ」

「日帰り?」

「できますよっ」

「いいんじゃない。しおも、ずっと引きこもってちゃあぶないし」

「あぶないってなんだよ」

「じゃあ、またこんど詳しく決めましょうっ」


 まさか観光にいくことになるとは、それも離島……とか、みき、思いつつも、おもしろそうではある。


 かうな、ちょっと上機嫌になって、跳ねている。わかりやすい子である。で、はしゃぎ気味なのを、シーにたしなめられていた。みき、休憩を切り上げて、ギターを手にした。



【前田あおば 軽音楽部顧問】


 国語よりも音楽が好きな国語教諭。

 軽音楽部の顧問。


 高校生のころにはバンドを組んでいたようで、人前での演奏経験もけっこうある。コンクールでは上位入賞したとか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ