表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝を歩け。  作者: 維酉
2nd Single【恋と渦巻き】
30/176

25 ハンカチ

 うめに連れられて、おしゃれなカフェにやってくる。かわいい店員さんに席まで案内してもらって、ゆか、メニューを開いてちいさく歓声。みき、しお、のぞきこんでみる。


 ショートケーキにチョコレートケーキ、チーズケーキ、ロールケーキ……いろいろあって、どれもおいしそう。ゆかの目、とってもきらめいている。


「おごりだったよね? みきの~」

「まあ、そうだけどさ……」

「何個まで~?」

「いくつでもくえよ」

「いいの~?」


 にぱあ、とゆか、すごく明るいかおをする。あ、まずい。前言撤回、といおうとしたが、ゆかのほうが早かった。


 いつになく俊敏なうごきで、呼びだしのベルを押す。え、はやくない? とうめ、いったが、ゆか、


「時間との勝負だったから~」


 といって、笑顔を絶やさない。

 みきにとっては、ちょっと、いやかなり、こわい笑みである。


 さっきの店員さんがやってきて、注文をとる。ゆか、つぎつぎと、これと、これと、これと……みたいな、欲張るかんじで注文していく。みき、しお、うめも、自分がたべたいもの、選んで、いう。


 店員さんがはなれて、


「みきちゃん」と、うめ。「えっと……だいじょうぶ?」

「だいじょうぶ。お金はたくさんもってきたから」

「うーん……」

「抑えたよぉ?」

「抑えてたかー?」

「……あ、そうだ。軽音楽部、どう?」

「うん? あぁ……まあ、なんとか」

「新歓ってなにやるの?」

「オリ曲いっこと、カバーをひとつ」

「へぇ……あれ、二年生って見れたっけ」

「どうだったかな……」

「もしだめだったら、音漏れとか、期待してねぇ」

「いや、それは……ありかも。授業ぬけだして」

「こらこら」


 いってたら、飲み物がきた。みきとしお、ブラックのホットコーヒー。うめ、アイスミルクティー。ゆか、オレンジジュース。


「んーでも、聞きたいなぁ」

「そう? まあ、文化祭もステージ出るつもりだからさ」

「そっか。気長にまとっかな」


 続々と、ケーキも運ばれてくる。で、そのほとんどが、ゆかのもの。


 大きなイチゴがちょこんとのったショートケーキから、ゆか、手をつける。フォークでぐさり、イチゴをとって、ほおばった。うまそう、と、みき、チーズケーキを食べながら思う。


「あー……そういえばさ、みき」

「うん?」

「誕生日、おめでとう」

「あ? ……あぁ、うん。ありがとう」

「あ、今日だったのっ?」

「ううん。一昨日」

「忘れてたんだよなー」

「えぇ、わたしはちゃんと電話したのに~」と、ゆか、いってから、「あ、プレゼント渡すんだった~」

「べつにいいのに……」

「はい、どぉぞ」


 プレゼント、見てみると、すみっこに柴犬がデザインされたハンカチだった。いぬ……いぬか。いいな、これ。つかわせてもらおう。


「ありがとうな」

「ううん~」

「おめでとう、みきちゃん。あ、でも、わたし、なんにも用意してなくて……」

「いいよ、きもちだけでうれしい」

「うー……あとでなにか買いにいこう!」

「そう?」

「あー。じゃ、あたしもそのときでいっかー」

「おまえは……まあ、いいよ」

「そのいいかたやめて。ごめん。ほんとうにごめん」


 みき、くすりと笑う。で、しおのケーキ、一口ぶん盗んでから、


「まあ、ゆるしてやろう」


 と、いった。



【玉原しお ベース担当】


 面倒くさがりな女子高校生。

 四月から二年生になる。


 四月からの抱負は『できる限りの省エネ』であり、なるべく静かで平和な一年にしていきたいらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ