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朝を歩け。  作者: 維酉
Debut Single【朝を歩け】
26/176

21 スケジュール

 部活で、セッションをおえて、ひといきつく。軽音楽部の部室で、しお、床にねっころがる。ゆかもそれをまねる。


「きたねーからやめろって」と、みき。

「じゃあ、おふとんもってこようかなぁ」

「お、いいねー」

「よかねーよ」

「ケチー」


 いいつつ、ゆか、起き上がる。しおもそうする。で、ゆか、しおの背中のほこりを見て、わらった。そんなゆかの背中にも、やっぱり、よごれ。おたがいにぱたぱたはたいて、落としてあげる。


 それを横目でながめながら、みき、水分補給である。あ、わたしものど乾いたかも。あたしもー、としおが立ち上がる。


 で、おしりのほこりを見て、ゆかが笑って……と、さっきみたいなことをまた繰り返していた。なにやってんだ、とか思いつつも、みき、口には出さない。


「そういえばさ」と、しおが炭酸のふたを開けながらいう。「もうすぐ学校おわるけど、春休みも部活やるよね?」

「ん、やるけど」

「どんぐらい?」

「どうしような。なるべくなら、ぜんいんで集まりたいけど」

「ゆか、スケジュールの空きはー?」

「わたし? うーん、今年はけっこうひまだよぉ」

「そうなのー? めずらしいね」

「おとうさんがね、ともだちとあそびたいだろって~。部活やりたいんだけどねぇ、じつは」


 ゆかはながい休みになると、家の用事でいそがしいことが多いらしい。みきは、しおに夏休みのころそう聞いていた。


「じゃあ、ちょっと多めにできる?」

「かもねぇ」

「日程くむよ。ひまな日、教えて」


 とりあえずカレンダーつきの手帳をとりだして、この日と、この日、あとその日かな。スケジュールをうめていく。二週間ほどある春休みで、四回くらい、合わせができるらしい。


「ねぇ、せっかくならさ~」


 と、ゆか、三月の末の練習予定日をゆびさして、


「ここさ、わたしの家でやらない?」

「うん? いいけど、どしたの」

「あのね、おにいちゃんがね、留学先から帰ってくるから……」

「あ……そういや前、いってたっけ」


 じゃ、この日はゆかの家で。そういうふうに手帳に書きこむ。あとでそれ、コピーしたのちょうだいね、とふたりにいわれる。アナログでいいの、と訊き返すと、それがいいんじゃん、とのこと。


 なにより、みきの字ってのがポイント高いね。しおがいうと、ゆか、同意のうなずきをみっつ。


「ま、いいけどさ。コピー代はもらう」

「え~、ケチぃ」

「十円」

「……はーい」

「よろしい。しおも」

「あたし財布を忘れて」

「前も聞いたことあるぞ、それ」

「ざんねん」

「おい」


 さて、日程も決まったし、練習にもどろうか。

 ギターを持ち上げたところで、みき、ふと思いだす。


「あ、バンド名」

「……あ」

「忘れてたな、決めるの」


 しお、ベースをいじりながら、


「この際、決めちまう?」

「それがいいかも……つっても、だれかいいの、思いつく?」

「う~ん……」


 みんな、おしだまる。だれも思いつかないし、これまたけっきょく、あとまわしになった。はやめに決めないとな、とみき、思うけれど、かといって、いいバンド名が浮かぶわけでも、やはりない。


「……ま、練習すっか」


 いちおうのところ、いまはそうすることにした。



【戸殿ゆか 軽音楽部副部長】


 マイペースな女の子。

 海外に行くことが多く、実は英語が堪能。


 理系科目が大の苦手で、成績は悲惨。しかし英語が得意なので、英語科の先生にはずいぶん褒められるらしい。

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