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朝を歩け。  作者: 維酉
Debut Single【朝を歩け】
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14 女子力

 日曜日のお昼。うめ、みきの家の台所に立って、包丁にぎる。まな板のうえに寝そべるチャーシューのかたまりに、すっと刃を入れていく。


 となりで、みき、お湯を沸かせたなべのなかに、麺を入れる。しばし待って、ゆがいて、


「しおー、ゆかー。うつわくらい出せー」

「んー」


 リビングから、しおたち、やってくる。どれ、これ? それじゃない? これでいっか――食器棚をがちゃがちゃやる音が聞こえる。


「箸とかは?」

「てきとーに」

「ふぅん、ど・れ・に・し・よ・お・か・な……っと」

「八本ある~?」

「四膳といえ、四膳と」

「伝わればいいんだよ~」

「みきちゃん、わたし、ネギも切ります」

「ん? うん。ありがと」


 ちょうどいいくらいに茹で上がってきて、うつわに。

 うめの切った具材も盛りつけて、完成。ひとりずつ、ひとつずつで、運んでいく。テーブルまで運んだら、みき、冷蔵庫にいって、お茶を出す。しおとゆか、コップの準備。


 お茶、ラーメン。そろって、お昼ごはんのできあがり。


「午後はあそぶぞー」

「うんうん」

「合掌」


 いただきます。


「……あつっ」


 がっついたしお、いう。そりゃそーだ、みきは苦笑する。


「もっとゆっくり食べなーよ」とうめ。

「だれかが盗るわけでもねーんだし」

「むしろ伸びて、増えちゃうよ~」

「あ、たしかに」

「たしかにじゃないって、うめちゃん」


 雑談しながら、食べすすめて、数分。これさ、としお。


「スープ飲み干したら、アタリとか書いてある?」

「ねーよ」

「あ、ないんだ……」

「残念そうにしないで」

「わからんぜ? 書いてあるかも」

「飲んでみよぉ」

「賭けだなー」

「わ、わたしも……」

「油分」

「う」

「カロリー」

「うぅっ……」

「みき、うめをいじめるなー」

「おまえらにも突き刺さっていい言葉だと思うんだけどな」


 そうこういっていたら、ゆか、ぷはぁと大きく息を吐いて、ごちそうさま。

 底にはもちろん、なにも書いてない。ちょっと残念そうに、「はずれた~」と笑う。あたることが、そもそもねーんだけどな。みき、苦笑い。


 みんな、食べ終わった。


 食器を下げて、水につけて、どうしよう。ウノでもする? とゆか、提案。またかよ、しおは若干ゆううつそうにいう。じゃ、トランプとかは。あ、それなら、大富豪がいいな。いいね、やろー。


 みき、トランプを持ってきて、シャッフル。


「革命は?」

「ありにしよう」

「革命、八切り、スぺ三、禁止上がりー」

「ほかになにかいれる~?」

「べつによくね」

「負けた人には罰ゲームとかー」

「なにをやるんだよ」

「好きなひとをばらす……とか」

「女子かよー」

「うめちゃんだけだよ、このなかで女子してるの~」

「あ、え、そうかな……?」

「貴重」

「たいせつにしなきゃ~……」

「う、ううん?」

「で、罰ゲームはどうするよ」

「じゃあ……好きなプロレス技の発表でいいだろ」

「負けたら女子力が死ぬのかー……」

「地味にきついね、それ……」

「か、勝つぞ~!」


 勝負はけっこう、白熱した。

 ゆかがいちばん弱かった。



【笹田うめ ねこ派】


 人見知りする女の子。

 なにかいう前に「あ」といってしまうのが癖。


 父親に止められていまだにカエルを飼っていないが、将来的にはたくさん飼いたいらしい。

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