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朝を歩け。  作者: 維酉
Debut Single【朝を歩け】
17/176

12 インスリン

「しりとり」とみき。

「りんごー」としお。

「五目並べ~」ゆかがいって、

「べ……ベリリウム?」うめに回る。


「虫眼鏡」

「ネタ」

「たね~」

「ねこ」


「コアラ」

「ラスベガス」

「スイカ~」

「カエル!」


「きゅうにテンション上がったな……。ルーペ」

「ペン立て」

「定価~」

「カエルはダメで……カテドラル」妥協したらしい、うめ。


「ルノワール」

「ルール」

「るつぼ~」

「ボート」


「陶器」

「吉祥寺ー」

「住みてーの?」

「いやべつに」

「磁石~」

「カエルっていう単語じゃなくて、品種ならゆるされる?」と、うめ。

「いーんじゃない?」しおがてきとうに答える。

「カエルに固執する理由がよくわかんないけど」みき、正直な感想。

「じゃあ、クツワアメガエル」


「めっちゃ『る』が回ってきそう……。ルーター」

「滝」

「汽車~」

「シャベルノーズアマガエル」


「なにそれ。ルアー」

「雨音」

「トマト~」

「トラアシネコメガエル」

「想像しやすい名前だね~」


「ルービックキューブ」

「ブラジル」

「る……る?」

「るー」

「ルーマニア!」

「アカメヤドクガエル」


「瑠璃色」

「ロシア」

「アメリカ~」

「か……カトリック教会……」

「あ、カエルじゃないんだ」

「負けた気分だよ……」


「……イタリア」

「アメージング・グレース」

「スガシカオ」

「オオヒキガエル」


「ルター」

「タピオカ」

「カナリア~」

「アカボシヒキガエル」


「留守番電話」

「ワーカホリック」

「おまえとは一生縁のない言葉だろ」

「失礼な」

「草~」

「笑ったの?」しお。

「どーいうこと?」ゆか、そういうのにはうとい。

「なんでも」

「タイミングは完璧だったな」

「サビトマトガエル」


「そろそろ『る』も切れてきたんだけど……」

「あ、ごめんね……」

「みきならいける」

「かわいいもん」

「うっせ。なんの関係があるんだよ」

「変えようか?」

「いーよ。ルビー」

「ビストロ」

「ロシアンルーレット~」

「トラア――いったっけ」

「たぶん」

「いったよね。じゃあ、その……頓悟」

「国?」

「ううん、仏教用語」

「カエルに困ったら宗教だすよね、うめちゃん」

「そ、そうかな?」

「え、なんだっけ」

「ご」

「ご……誤解」

「インスリン……あ」

「ダウト」


 みき、しおの肩をたたく。悔しがるしおに、うめ、


「生物のテストに引っ張られたのかな」とぽつり。

「やらかしたー……はら切るわ」

「なにもそこまで求めてねーよ」

「ジュースおごりね~」

「わたし緑茶」

「オレンジジュース~」

「うめはー?」

「カフェオレでお願いします」

「おっけー」

「……そっか。来週、生物基礎の小テストか」

「しお、勉強してんの?」

「しりとりでインスリン出てくるくらいだし、だいじょうぶじゃね」

「どこの臓器?」

「……腎臓だっけ?」

「ちがうよしお、副腎皮質だよ~」

「すい臓だよ」

「あれ~?」

「副腎皮質ってなんだっけ……」

「うめちゃんまで……。週末、勉強会でもする?」

「勉強会とは名ばかりの」

「名ばかりのなんだよ」

「みきの家でね~」

「またか」

「いい出したのはみきだぜ」

「わ、わたしもお邪魔しても……」

「むしろウェルカムだよ~」

「ゆかがいうなよ……ま、そうだけどね」

「あ、ありがと!」

「教室戻るかー」

「お弁当~」

「さっき食べたじゃん」

「おにぎり残ってるの~」



【玉原しお いぬ・ねこ派】


 てきとうな性格。

 冗談をいってみきにツッコまれるのが好き。


 うめのことは基本よびすてにするが、気分でちゃんづけする。笹田うめという名前は語呂がいいから大好きらしい。

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