12 インスリン
「しりとり」とみき。
「りんごー」としお。
「五目並べ~」ゆかがいって、
「べ……ベリリウム?」うめに回る。
「虫眼鏡」
「ネタ」
「たね~」
「ねこ」
「コアラ」
「ラスベガス」
「スイカ~」
「カエル!」
「きゅうにテンション上がったな……。ルーペ」
「ペン立て」
「定価~」
「カエルはダメで……カテドラル」妥協したらしい、うめ。
「ルノワール」
「ルール」
「るつぼ~」
「ボート」
「陶器」
「吉祥寺ー」
「住みてーの?」
「いやべつに」
「磁石~」
「カエルっていう単語じゃなくて、品種ならゆるされる?」と、うめ。
「いーんじゃない?」しおがてきとうに答える。
「カエルに固執する理由がよくわかんないけど」みき、正直な感想。
「じゃあ、クツワアメガエル」
「めっちゃ『る』が回ってきそう……。ルーター」
「滝」
「汽車~」
「シャベルノーズアマガエル」
「なにそれ。ルアー」
「雨音」
「トマト~」
「トラアシネコメガエル」
「想像しやすい名前だね~」
「ルービックキューブ」
「ブラジル」
「る……る?」
「るー」
「ルーマニア!」
「アカメヤドクガエル」
「瑠璃色」
「ロシア」
「アメリカ~」
「か……カトリック教会……」
「あ、カエルじゃないんだ」
「負けた気分だよ……」
「……イタリア」
「アメージング・グレース」
「スガシカオ」
「オオヒキガエル」
「ルター」
「タピオカ」
「カナリア~」
「アカボシヒキガエル」
「留守番電話」
「ワーカホリック」
「おまえとは一生縁のない言葉だろ」
「失礼な」
「草~」
「笑ったの?」しお。
「どーいうこと?」ゆか、そういうのにはうとい。
「なんでも」
「タイミングは完璧だったな」
「サビトマトガエル」
「そろそろ『る』も切れてきたんだけど……」
「あ、ごめんね……」
「みきならいける」
「かわいいもん」
「うっせ。なんの関係があるんだよ」
「変えようか?」
「いーよ。ルビー」
「ビストロ」
「ロシアンルーレット~」
「トラア――いったっけ」
「たぶん」
「いったよね。じゃあ、その……頓悟」
「国?」
「ううん、仏教用語」
「カエルに困ったら宗教だすよね、うめちゃん」
「そ、そうかな?」
「え、なんだっけ」
「ご」
「ご……誤解」
「インスリン……あ」
「ダウト」
みき、しおの肩をたたく。悔しがるしおに、うめ、
「生物のテストに引っ張られたのかな」とぽつり。
「やらかしたー……はら切るわ」
「なにもそこまで求めてねーよ」
「ジュースおごりね~」
「わたし緑茶」
「オレンジジュース~」
「うめはー?」
「カフェオレでお願いします」
「おっけー」
「……そっか。来週、生物基礎の小テストか」
「しお、勉強してんの?」
「しりとりでインスリン出てくるくらいだし、だいじょうぶじゃね」
「どこの臓器?」
「……腎臓だっけ?」
「ちがうよしお、副腎皮質だよ~」
「すい臓だよ」
「あれ~?」
「副腎皮質ってなんだっけ……」
「うめちゃんまで……。週末、勉強会でもする?」
「勉強会とは名ばかりの」
「名ばかりのなんだよ」
「みきの家でね~」
「またか」
「いい出したのはみきだぜ」
「わ、わたしもお邪魔しても……」
「むしろウェルカムだよ~」
「ゆかがいうなよ……ま、そうだけどね」
「あ、ありがと!」
「教室戻るかー」
「お弁当~」
「さっき食べたじゃん」
「おにぎり残ってるの~」
【玉原しお いぬ・ねこ派】
てきとうな性格。
冗談をいってみきにツッコまれるのが好き。
うめのことは基本よびすてにするが、気分でちゃんづけする。笹田うめという名前は語呂がいいから大好きらしい。




