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朝を歩け。  作者: 維酉
1st Album【東へ!】
121/176

116 ツインテ

 三日目の朝。おのおの、部屋で支度をしていると、


「みき先輩、髪型かえてみませんか?」


 と、シーにいわれる。みき、困って、


「いや、ちょっと、わたしは、ほら……」

「シー、やめてやれ」と、しお。「ほんとうに似合わないんだ、こいつ」

「うっ」


 いつもの毒舌が飛んでこない。ゆか、にこにこして、


「も~、だめだよぉ、わりと気にしてるんだから」

「繊細だもんなー」

「うっせ」

「でもでも、ポニテ以外にもしっくりくる髪、あるかもしれませんしっ!」


 反面、一年生はやる気いっぱいである。みき、気乗りしないが観念して、鏡のまえに座る。


「みきをおもちゃにして遊ぶ回」

「しお、おまえはマジでやめてくれ……」

「まーまー。ツインテとかどう?」


 簡単に括ってみる。びみょう。似合わないというか、なにかちがうといった雰囲気で、コメントに困る。


「みきさー……」

「わたしがわるいのか? これ」

「さいしょにツインテやるのは、冒険しすぎだよね~」

「わたしとおそろいとかどうですかっ?」

「お団子か。やってみましょう」


 シー、いつもかうなの髪でやっているように、さっくり結ぶ。


 これもびみょう。やはりどう反応すればよいかわからない。


「うーん、かわいいんですけど……」かうな、腕を組んで、「やっぱりイメージが強すぎるのかな」

「それはあるかもね。みき先輩といえばポニテ、みたいな先入観」

「というか、みき、なんでずっとポニテなんだー? たまにちがうの試してるけど」

「おまえらが似合わないっていうからだろ……」

「だって、わたし、ポニテすきなんだもん~」


 ようするに、ゆかの好みだった。


「あ、じゃあ、ポニテを残しつつアレンジするとか……」

「ナイスねねちゃん、それいいかもっ!」


 ねね、慣れた手つきで三つ編みのポニーテールをつくる。いままでより、ずっといいかんじ。


「ゆかさん、どうでしょう」と、しお。

「これならゆかちゃんも納得~」

「そう……」みき、なんともいえない表情で、「でも、このくらいなら恥ずかしくないし、いいかも」

「本音が漏れてるぞー」

「ねねちゃん、ほかにもあるっ?」

「えっと、そうだな……」

「あ、ごめん、ちょっと待って」みき、ほどかれるまえに、「しお、わたしの携帯で撮っといてくれない? 後学のために……」

「よかろう」


 で、いろいろと髪型を教えてもらう。もちろん、すべてカメラに収めておく。


 結局、気に入ったのはさいしょの三つ編みアレンジだった。今日いちにちは、これで過ごしてみることにする。


「ありがとうね、ねねちゃん」と、みき。「わたし、こういうのはあんまり得意じゃなくて」

「い、いえ、大したことは……!」

「ねねちゃんはすごいね」と、シー。「わたしの髪も結んで」

「あ、う、うん」


 頼まれると、断れない。


「ツインテにしよう」と、かうな、たのしげに。「ぜったいに!」

「ぜ、ぜったいに……?」

「とびきりかわいいのにしよう、ぜったいに!」


 ねね、困惑しつつ、ツインテを編む。シー、まんざらでもなさそうだった。



【大元みい子 平川高校教諭】


 平川高校の教諭。

 いろいろとルーズな、軽音楽部の顧問。


 今年の夏の目標は「運動すること」……なのだが、めちゃくちゃ暑くて一日目にして嫌になり、ほとんど運動できていない。

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