115 悪魔
「人生ゲーム見つけたー」
と、しお、部屋までもってくる。二日目の晩、部員でほのぼの過ごしている。
「物置にあったんだぁ」と、ゆか。「去年買ったやつだから、きれいだと思うよ」
ちょうど暇していたので、テーブルに広げてみる。コマを六つ並べて、準備が整った。
で、じゃんけんをして順番をきめる。
「では、わたしから」
シー、ルーレットを回して、スタート。
ゲームは白熱した。みきが中盤で一気にお金もちになったり、それまでトップを独走していたかうなが借金地獄に落ちたり、シーソーゲームがつづく。
「く、首が回りません……っ!」と、かうな、ルーレットを回し、「また借金が増えるんですけど!」
「はかないな、栄華って」つぎの手番は、しお。「あたしは小市民としておだやかに暮らすぜ」
「みき先輩ー! たすけてくださいー!」
「勝負だからなぁ」
みき、苦笑しつつ、ルーレットに手を伸ばす。またいい目がでる。
「ついてますね、先輩」と、シー、肯いて。
「そうだね」
「ふふ、おちるときは一瞬ですよ……!」
「闇におちちゃってる……」
いいつつ、ねねも回す。序盤からここまで、つねに三位あたりをキープしている。
「わたしかな~? みきに追いつきたいなぁ」
現在二位のゆか、踏んだマスでいきなり資産を奪われる。ひゃ~、と気の抜けた声をあげる。
で、ゲームは終盤。みきが首位を走り、ねね、シー、しお、ゆか、かうなとつづく。
かうな、返り咲きはもう絶望的で、ゆかとのビリ争い。一方の上位陣は、着々とゲームをすすめ、ルーレットの結果にかわいらしく一喜一憂する。
「じゃ、わたしはゴールだから」
みき、最初にあがる。世界的デザイナーとして一世を風靡し、首位を独走した。
で、すぐ、ねねもあがる。売れっ子アイドルとして人生を順風満帆に過ごした。
最下位争いはぐだぐだで、負債を増やしたり、ギャンブルにでたり。長そうなので、みきとねね、ゲームを横目で見ながらふたりで雑談する。
途中で、ねね、
「あ、そうだ。おねえちゃんに連絡しないと……」
「ののちゃんに?」
「はい。あの、なにして遊んだのとか、しつこくて……」
スマホを操作しながら、ねね、恥ずかしそうに笑う。やっぱり姉から溺愛されているらしい。
「わたしも写真送ろうかな……昼に釣ったさかなとか」
「ふふ、よろこぶと思います。あ、でも、調子にのってたくさんラインしてくるかも」
いもうとの辛口コメントに苦笑しつつ、撮った写真を送信してみる。
で、みき、ほくそ笑んで、
「交換しよう、携帯」
「え、はい……?」
既読はほとんど同時についた。向こうが悩んでいるような、ちょっとした間があって、
「みきちゃんって、悪魔なの⁉」
と、みきの携帯に返信がきた。
「?」ねね、困惑して、「どういう意味? おねえちゃん」と打ち込む。
「あっぶなー!」と、のの、返事。「そういういたずらはだめ!」
ねね、やっぱり、よくわかっていない。
携帯を戻す。みき、勘のよさを残念に思いつつ、「ごめんごめん」と。で、せっかくだから、さんにんのグループラインをつくり、旅行の話をしている。
「勝った~!」
「どうして……っ!」
こっちの決着もついたらしい。みき、愉快な盤面の写真を撮り、送信した。
【握津のの 高校二年生】
平川高校の二年生。
人あたりのよい性格で、みきの友達。
夏休みの目標は「新しいことに挑戦すること」。いもうと・ねねと一緒にどうにかしてバンジージャンプにいこうと画策しているが、うまくいっていない。




