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朝を歩け。  作者: 維酉
1st Album【東へ!】
120/176

115 悪魔

「人生ゲーム見つけたー」


 と、しお、部屋までもってくる。二日目の晩、部員でほのぼの過ごしている。


「物置にあったんだぁ」と、ゆか。「去年買ったやつだから、きれいだと思うよ」


 ちょうど暇していたので、テーブルに広げてみる。コマを六つ並べて、準備が整った。


 で、じゃんけんをして順番をきめる。


「では、わたしから」


 シー、ルーレットを回して、スタート。


 ゲームは白熱した。みきが中盤で一気にお金もちになったり、それまでトップを独走していたかうなが借金地獄に落ちたり、シーソーゲームがつづく。


「く、首が回りません……っ!」と、かうな、ルーレットを回し、「また借金が増えるんですけど!」

「はかないな、栄華って」つぎの手番は、しお。「あたしは小市民としておだやかに暮らすぜ」

「みき先輩ー! たすけてくださいー!」

「勝負だからなぁ」


 みき、苦笑しつつ、ルーレットに手を伸ばす。またいい目がでる。


「ついてますね、先輩」と、シー、肯いて。

「そうだね」

「ふふ、おちるときは一瞬ですよ……!」

「闇におちちゃってる……」


 いいつつ、ねねも回す。序盤からここまで、つねに三位あたりをキープしている。


「わたしかな~? みきに追いつきたいなぁ」


 現在二位のゆか、踏んだマスでいきなり資産を奪われる。ひゃ~、と気の抜けた声をあげる。


 で、ゲームは終盤。みきが首位を走り、ねね、シー、しお、ゆか、かうなとつづく。


 かうな、返り咲きはもう絶望的で、ゆかとのビリ争い。一方の上位陣は、着々とゲームをすすめ、ルーレットの結果にかわいらしく一喜一憂する。


「じゃ、わたしはゴールだから」


 みき、最初にあがる。世界的デザイナーとして一世を風靡し、首位を独走した。


 で、すぐ、ねねもあがる。売れっ子アイドルとして人生を順風満帆に過ごした。


 最下位争いはぐだぐだで、負債を増やしたり、ギャンブルにでたり。長そうなので、みきとねね、ゲームを横目で見ながらふたりで雑談する。


 途中で、ねね、


「あ、そうだ。おねえちゃんに連絡しないと……」

「ののちゃんに?」

「はい。あの、なにして遊んだのとか、しつこくて……」


 スマホを操作しながら、ねね、恥ずかしそうに笑う。やっぱり姉から溺愛されているらしい。


「わたしも写真送ろうかな……昼に釣ったさかなとか」

「ふふ、よろこぶと思います。あ、でも、調子にのってたくさんラインしてくるかも」


 いもうとの辛口コメントに苦笑しつつ、撮った写真を送信してみる。


 で、みき、ほくそ笑んで、


「交換しよう、携帯」

「え、はい……?」


 既読はほとんど同時についた。向こうが悩んでいるような、ちょっとした間があって、


「みきちゃんって、悪魔なの⁉」


 と、みきの携帯に返信がきた。


「?」ねね、困惑して、「どういう意味? おねえちゃん」と打ち込む。

「あっぶなー!」と、のの、返事。「そういういたずらはだめ!」


 ねね、やっぱり、よくわかっていない。


 携帯を戻す。みき、勘のよさを残念に思いつつ、「ごめんごめん」と。で、せっかくだから、さんにんのグループラインをつくり、旅行の話をしている。


「勝った~!」

「どうして……っ!」


 こっちの決着もついたらしい。みき、愉快な盤面の写真を撮り、送信した。



【握津のの 高校二年生】


 平川高校の二年生。

 人あたりのよい性格で、みきの友達。


 夏休みの目標は「新しいことに挑戦すること」。いもうと・ねねと一緒にどうにかしてバンジージャンプにいこうと画策しているが、うまくいっていない。

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