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朝を歩け。  作者: 維酉
1st Album【東へ!】
118/176

113 ハイキング

 二日目。二年生とゆかのお母さん、山にハイキングへ。


 初心者でも、一時間ていどで展望デッキに着くというので、ためしに登っている。海もよいが、山の自然もみごとなものである。


 みき、ゆかのお母さんに話しかけて、


「自然がいっぱいで、いいところですね、ここ」

「そうでしょう! 十年まえかしら、お仕事できてから、旦那がすっかり気に入っちゃって」


 山道はずいぶん歩きやすい。小鳥のさえずりが響き、そよそよとした風が吹く。真夏だが、山のなかはおもいのほか涼しい。


「デッキの景色もすてきなのよ。町が見渡せて、海もかがやいて見えるの」


 いわれて、みき、期待がふくらむ。


「ちょっと休憩~」


 途中にあった休憩所で、ゆか、水筒のお茶をごくごく飲む。


「ちょうど中間地点なんだなー」と、しお、看板を見ながら、「ここからあと三十分か」

「ゆか、だいじょうぶそう?」

「うん~。すぐいこっかぁ」


 いちばん体力がないゆかでも、平気そう。ほんとうに、ちょっとした散歩といった具合で歩けている。


 再度、出発。進行方向から、カップルらしい若い観光客がおりてくる。


 ほかにも、すれちがうひとはいた。おじいさんから、子ども連れまで、だれもがおだやかに山道を歩く。


「山って聞いて、身構えてたけど」と、しお。「意外となんとかなるもんだなー」

「だな。ゆかも、ふつうに着いてきてるし」

「向こうもたのしくやってるかね」


 しお、海のある方角を見やる。一年生は、ゆかのお父さん、お兄さんといっしょに、朝から釣りに出かけている。


「かうなちゃん、張り切ってたね~」

「そういや釣りずきだったな、あの子」

「あたし、釣りしたことねーなー。興味はあるんだけど」

「あとで合流するか? けっこう長くいるつもりなんだろ」

「それもいいね~」


 と、いっていたら、開けた場所にでた。展望デッキだ。


 予想よりずっとはやい。みき、腕時計を見ると、やはり再出発から十五分ていどで着いている。


「みんな若いから」と、ゆかのお母さん。「あら、わたしも若いってことになっちゃう」


 展望デッキからは、たしかに島を一望できた。港町に、透きとおる海、境界線の見えない青空。


 ゆかのお母さんが写真を撮ってくれる。そのあと、ベンチに座って、お手製のおにぎりをたべる。お昼ごはんにと、ゆかのお母さんとみきが、つくってきたものだ。


 邸宅のキッチンはおそろしく広かった。白を基調にしたきれいなアイランドキッチンで、みき、島にきていちばん興奮したかもしれない。おにぎりも、気合いをいれてつくった。


「うまいか?」

「うん、おいしい~」

「みきちゃん、さすがねぇ。わたしより上手につくってくれたもの」

「そんな、大したことないですよ」


 みきも、ひと口。いい塩加減で、なかなかうまい。


「きれいな場所だなー」しお、たべながら、「あそこらへんか、釣りしてるの」

「向こうは、おさかなたべてるのかなぁ」

「そうだろうな。よく釣れるらしいし」


 景色をながめながらの昼食に、身も心も休まる。しばらくまったりして、それから下山した。



【笹田うめ 高校二年生】


 夏休みの目標は「部活をがんばること」。卓球部で大会に出たり合宿にいったり、忙しくも充実した日々を送っている。

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