表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝を歩け。  作者: 維酉
1st Album【東へ!】
112/176

107 ラジオ体操

 みき、インターフォンが鳴ったので、でると、軽音楽部の一年生がいた。


「いらっしゃい。どうぞ、上がって」

「お邪魔します」と、口々にいって、みき宅にあがる。


「すみません、いきなり押しかけちゃって」と、シー。

「気にしないでよ。ま、あんまりもてなせないけど」


 みき、とりあえずダイニングテーブルに座らせて、冷えた麦茶をだす。ついでに、ちいさな編みカゴにお菓子をいくつか盛る。


「しおはもうすぐくるだろうし、先にはじめちゃおっか」


 いうと、一年生さんにん、肯いた。


 ことの発端は、昨日、かうなからのライン。来週に控える旅行のあいだに、ゆかの誕生日があるのを知って、なにかサプライズでも仕掛けたいとのこと。


 わるい提案ではないので、みき、快諾して、ゆか以外のメンツを今日、家に招いた。作戦会議のためである。


「で、サプライズって、具体的になにするの?」

「それなんですけど……」ねね、おずおずと、「色紙とか、くるまえに買ってきてはみたんです」


 ビニル袋をとりだす。なかには、かわいらしい色紙と、シールがいくつか。


「でもっ! それだけだと味気ないですし、どうせなら、なにか味わってほしくてっ!」

「味わう?」みき、腕を組む。「あぁ、ま、たべものがいちばんよろこぶだろうな、あいつ」

「わたしたちもそう思って! もちろん、誕生日プレゼントも用意して、ケーキは手作りしてみたいなぁと」


 かうなのことばに、みき、考える。たしかに、よろこぶと思う。


「みき先輩は、ケーキをつくったことありますか?」と、シー。

「うん、あるよ。ケーキづくりなら力になれると思う」


 と、いっていたら、またインターフォンが鳴った。みき、でると、しおである。


 合流して、いまのところの案を説明。


「ケーキなー」と、しお、肯いて。「いいんじゃね? ゆかの親御さんに頼めば、キッチンも使わせてもらえるだろうし」

「そうだな。あとは、どんなケーキにするかだけど」


 作戦会議は進んでいく。ケーキについては、だいたい案がまとまった。


 で、そのつぎは、色紙にメッセージを書く。余白はねねとシー、かわいいイラストで埋めていった。そういう才能もあるのか、と、みき、感心する。


 これで、作戦会議は終了。しだいに、ただの雑談にきりかわっていく。


「先輩たちは、もう水着買いましたか?」

「うん。わたしは買ったよ」

「あたしも買った。競泳水着」

「つまんねえから絶対やめろよ」

「冗談」


 わたしは浮き輪も買いました! と、かうな、たのしげに。


「うちは、ここ最近、ずっとジョギングを……」

「お、えらい」と、みき。「わたしもやってる。仲間だね」

「時間帯、いつやってます?」シー、身を乗り出して、「やっぱり朝方?」

「そうだね。昼は暑いし」

「うちも、朝に……公園のラジオ体操があるから、起きるの早くて」

「ラジオ体操?」

「あっ、えっと、ちがうんです! 小学生にまざってるわけじゃなくて、いやあの、まざってるんですけど……!」


 聞くと、ちょっとしたボランティアで、小学生の見守りをしているらしい。夏休み、早朝のラジオ体操をいっしょにして、スタンプを押しているんだとか。


「その、ほとんど、おねえちゃんの付き添い、なんですけど」

「そっか。えらいね、ねねちゃん」


 みき、褒めると、なおさら縮こまってしまった。



【夏井みき 高校二年生】


 平川高校の二年生。

 毒舌だが、根はやさしい。


 夏休みの目標は「しっかり稼ぐこと」。遊びの予定はいれつつ、空いた時間にはがっつりバイトのシフトをいれている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ