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愛に飢えた魔王と独占欲の強い妃   作者: 時計塔の爺
第1章
9/14

ショタ現る

 ラニラが儀式を行う少し前。菊池楼の意識は黒一色の闇の中をさまよっていた。

 ここはどこなのか。なぜラニラは自分にこんな仕打ちをしたのか。

 そんなことは菊池楼にとって些細な問題であった。

 彼は愛に飢えている。自分をその眼に映してもらうことを望んでいる。言葉を自分に投げかけられることを渇望する。

 父が死に、日常に異常が差し込まれたあの時間が彼を、菊池楼を狂わせるには十分すぎたのだ。


 (…彼女は心から俺を欲していた。あの瞳には嘘はない。ならば俺も彼女の行動を受け入れよう。このまま意識が戻らなかったとしても、そのまま死んでしまうとしても、彼女がそれを望むなら。)


「…これはこれは。ずいぶんと変わった奴が来たね~。」


 !!!


 闇の中にショタがいた。


「だれがショタだ‼失礼な客人だねぇ。…まぁいいか。ついてきなさいな。」


 ショタの子供特有の声に従い闇の中進む。

 するといつの間にか真っ青な空間に出た。まるで快晴の青空のよう。中央には白いテーブルとイスが二つ。


「ハイハーイ。こっちに座りなさいな。」


 ショタに進められて椅子に座る。いつの間にか紅茶とクッキーが用意されている。

 紅茶をすするショタは目線でそれらに手を伸ばすよう言ってくる。

 だがあんなことがあった後だ。このショタが毒を盛っている可能性もある。


「…んん~。そんなに警戒しないでくれるかね。私は食べ物で遊ばないことにしているんだよ。あとさっきからショタうるさいよ。これでも君よりも何百年と長く存在しているんだよ?」


「…っえ!?」


  俺はおもわず目の前にいる男の格好を見る。

  身長は120くらい。どちらかと言えば細身。色白ではりつやがある肌。クリクリした目と艶のある髪は引き込まれそうな黒。すごく若々しい。というよりはショタだ。何より着ているものがおかしい。俺より何百年も生きているやつが黒と白をベースにしたピエロ服なんて着るものか。なんかパジャマだと言われても疑わないだろう。


  「・・・いい年した大人が着るような服ではないように見えるのだが?」

  「ひどいね~♪心に思うだけでなく本人に言いますかい?格好は本人の自由だと思うんだけどねぇ。」

  「・・・たしかにあなたの言うとおりです。申し訳ありません。ご老体。」

  「たしかに爺さんではあるのだけど。その言い方は嫌かな~。まぁ年上に敬意を払うのは大切かな。」

  「・・・ではあなたのことをなんと呼べばよろしいのでしょうか。名前を教えて下さればそのように呼びますが。」

  「ウーンそうだね~。とりあえず試練が終わるまでは教えない♪」


  試練?


  ザワザワザワ!!!


  目の前の男がカップを置くと空気が変わるのを感じた。今までの爽やかな青色の空間は次第に黒雲が立ち込めたかのように黒く暗く変化する。それだけでなく、目の前に座るピエロ少年からも強い圧をかんじる。

 

  「・・・なっっ何を?」

 

  体を押し潰されそうな感覚に襲われながらも、菊池楼はことばを発する。

  それをピエロは面白そうに口を三日月形にして笑いながら答える。

 

  「なーに。今から君に簡単で複雑で単純で難関な素直でへそ曲がりな試練を受けてもらいたくてねぇ。ちなみに選択権は君にない。強制参加さ。」


  なんだその試練は。天の邪鬼じゃないか。


  「まぁ説明することも正直あんま無いし説明する気もこちらには無いのでねぇ。自分でどうしたらクリアになるのかを考えてねー。それじゃあいってらっしゃい。楽しませてね♪」


  は?


  ーーーパチン!?


  説明にもなっていない説明をし終えたピエロは右手で指を鳴らしたかとおもうとどこかへ消えた。

  そして周りはいつの間にか風景が作り出されていた。

 

  「・・・ここは・・・」

   

  その風景は菊池楼がほんの数日前にいたもとの世界。菊池楼の実家の玄関先であった。

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