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愛に飢えた魔王と独占欲の強い妃   作者: 時計塔の爺
第1章
8/14

教会でヤギのミイラは叫ぶ

 (魔王城食堂)


 純白のテーブルクロスに鮮血をまき散らし菊池朗は倒れこむ。

 その顔は苦悶一色に染まっている。

 だがそれとは対照的にラニラの表情は色のある笑みを浮かべて菊池朗の前髪をかきあげ、額に優しくキスをする。


「安心して眠ってください。」


 そういうと菊池朗の体は闇に包まれ飲み込まれる。


「…さぁ行きましょう。これで最後です。」


 そうつぶやくとラニラは食堂を後にする。

 あとに残されたテーブルの上に食事の跡もワインのグラスも、菊池朗の血も見当たらない。

 ただテーブルにはしわ一つない純白のテーブルクロスがかけられているだけ。


 ◆◇◆◇


  (魔王城、教会)


 そこは教会と呼ぶにはあまりにもまがまがしい。

 いたるところに設置されたガアーゴイルの石像は中央の祭壇を睨みつけ、ガーゴイルの視線が注がれた祭壇にはミイラ化した黒ヤギの頭が置かれている。


 ・・・コツ・・・コツ・・・


 ラニラは祭壇に向かうと


「・・・我が教会に何用か・・・」


  突然黒ヤギのミイラが喋りだした。


  「・・・礼拝をお望みか・・・解呪がお望みか・・・蘇生がお望みか・・・」


  しゃがれた声でミイラはたんたんと問いかけてくる。


  「いいえ、婚姻の儀と魔王様の誕生の儀を行いたいの。」


  「・・・我が教会に何用か・・・、礼拝をお望みか・・・解呪がお望みか・・・蘇生がお望みか・・・」


  ラニラの言葉にミイラはなんの反応もせず、同じ台詞を吐き出す。

  ラニラは懐から金と銀の指輪を取り出し、ミイラの眼穴に嵌め込む。

  するとどうしたことだろうか、二つの指輪ばそれぞれ金の右目と銀の左目に変わった。


  「バェーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

  ・・・命令を確認、・・・命令を確認、ガーゴイルたちよ準備せよ。」


  ミイラは咆哮し、ガーゴイルに指示をだす。

  するとガーゴイルたちは突然口々に呪文を唱え始め、巨大な魔方陣が足元に敷かれた。


  「それでいいのよ。さぁ菊池朗さん、式を始めましょう。」


  そういうとラニラは闇の中から意識のない菊池朗を出現させる。

 

  「そろそろ目が覚める頃だと思います、私はあなたを信じてますから。」


  菊池朗の耳元で優しく囁くラニラ。

  まるで子どもを優しく起こす母のように。

  そして菊池朗は目覚める。

次回、菊池朗視点

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